年金の繰上げ受給と繰下げ受給のメリット・デメリット
2018/02/09
目次
年金の「繰り上げ受給」、「繰り下げ受給」という言葉を耳にされたことはありますか?
年金を受け取る年齢は原則65歳ですが、65歳より早くもらったり、遅らせてもらうことによって、受給できる金額などがちがってきます。
今回は年金の繰上げ受給と繰下げ受給のメリット・デメリットについて簡単にまとめてみました。
参考にしてくださいね。
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年金の繰上げ受給と繰下げ受給とは?
年金受給開始年齢は65歳が原則ですが、受給開始年齢を60歳~70歳まで1ヵ月単位で選ぶことができ、65歳より早く年金を受給することを、「繰り上げ受給」、遅く受給することを「繰り下げ受給」といいます。
繰り上げ受給の場合は、年金受給額が最大30%(60歳0ヵ月受給)減額され、繰り下げ受給の場合は最大42%(70歳0ヵ月受給)増額されます。
繰り上げ受給の場合の減額割合
請求時の年齢 | 減額率 |
60歳0ヵ月~60歳11ヵ月 | 30%~24.5% |
61歳0ヵ月~61歳11ヵ月 | 24%~18.5% |
62歳0ヵ月~62歳11ヵ月 | 18%~12.5% |
63歳0ヵ月~63歳11ヵ月 | 12%~6.5% |
64歳0ヵ月~64歳11ヵ月 | 6%~0.5% |
※減額率=0.5%×繰上げ請求月から65歳になる月の前月までの月数
繰り下げ受給の場合の増額割合
請求時の年齢 | 増額率 |
66歳0ヵ月~66歳11ヵ月 | 8.4%~16.1% |
67歳0ヵ月~67歳11ヵ月 | 16.8%~24.5% |
68歳0ヵ月~68歳11ヵ月 | 25.2%~32.9% |
69歳0ヵ月~69歳11ヵ月 | 33.6%~41.3% |
70歳0ヵ月~ | 42% |
※増額率=0.7%×(65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数)
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実際の年金受給者は繰上げと繰下げではどちらが多いのでしょう?
厚生労働省の「平成27年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、
繰上げ受給を選択した人が35.6%、通常受給を選択した人が63.1、繰下げ受給を選択した人が1.4%となっています。
繰上げ受給を選択した人のほうが、繰下げ受給を選択した人よりも断然多いわけですね。
なんと年金受給者の3人に1人は繰上げ受給を選択しているんですね。
厚生労働省の「平成23年 年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)」によると、繰上げ受給を選択した理由は、「減額されても、早く受給する方が得だと思ったため」「生活の足しにしたかったため」「年金を繰り上げないと生活出来なかったため」が、主な理由ということです。
繰下げ受給を選択した人が1.4%と少ない理由は、いろいろ考えられるでしょうけど、65歳になっても働いて収入を得ることが難しいとか、歳をとってからもらっても損するような気がするからかもわかりませんね。
年金の繰上げ受給と繰下げ受給のメリット・デメリット
年金の繰り上げ受給、繰り下げ受給のそれぞれメリット・デメリットについて簡単にまとめてみました。
繰り上げ受給のメリット
- すぐに年金を受け取ることができる
- 早いうちに亡くなった場合、本人の受取総額は多くなる
繰り上げ受給のメリット
- 一生涯減額された年金受給額になる
- 障害基礎年金を請求することができない
病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。 - 加給年金・振替加算が支給されない
加給年金とは、厚生年金の加入期間が20年以上で配偶者が65歳未満又は、18歳到達年度の末日までの子がいる場合に厚生年金に加算してもらえる年金。
振替加算とは、妻が65歳になって老齢基礎年金をもらえるようになったら、夫の加給年金は停止され、妻の年金に加算(振替加算)される年金。 - 寡婦年金が支給されない、既に寡婦年金を受給していても権利がなくなる
寡婦年金とは、国民年金保険料の納付済期間と、免除期間を合わせて25年以上ある夫が、年金をもわらずに死亡したとき、妻に給付される年金です。 - 65歳になるまで遺族厚生年金・遺族共済年金が併給できない
本人だけでなく、遺族のことを考えるなら、繰り上げ受給は避けたほうがいいかもわかりませんね。
繰り下げ受給のメリット
- 一生涯増額された年金受給額になる
- 長生きすればするほど、本人の受取総額は多くなる
繰り下げ受給のデメリット
- 早いうちに亡くなった場合、本人の受取総額は少なくなる
- 加給年金・振替加算は増額されない
加給年金とは、厚生年金の加入期間が20年以上で配偶者が65歳未満又は、18歳到達年度の末日までの子がいる場合に厚生年金に加算してもらえる年金。
振替加算とは、妻が65歳になって老齢基礎年金をもらえるようになったら、夫の加給年金は停止され、妻の年金に加算(振替加算)される年金。
年金の繰り上げ受給、繰り下げ受給のそれぞれメリット・デメリットについて書いてきましたが、結局のところ何歳まで生きられるのかがわからない以上、確実な答えはありません。
私としては、平均寿命を参考にして考えればある程度サッパリするのではないかと思います。
【追記】
注意しなければいけないことがあります。
老齢基礎年金(国民年金)も老齢厚生年金も、繰り上げ・繰り下げ受給できますが、
受給時期を早める繰り上げ受給の場合は、老齢基礎年金も老齢厚生年金も同じ受給開始年齢で受給になります。
繰り下げ受給する場合は、老齢基礎年金と老齢厚生年金、それぞれ別に違う年齢で受給開始できます。
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