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改正年金機能強化法施行で無年金者救済!?生活保護費はどうなるの?

   

目次

改正年金機能強化法が施行

2017年8月1日、低所得の無年金高齢者を救済するために、改正年金機能強化法の施行によって、年金受給資格期間を25年から10年に短縮され、新たに年金を受け取れる人が増えるそうです。

資格期間が10年以上25年未満の人が対象で、25年に満たずに年金が受給できなかった人、その数は67万6千人、約68万人が新たに年金の受給資格を得ることになるそうです。(65歳以上の無年金者のうち約17万人)

無年金者の現状は、無年金見込み者+無年金者を合計すると最大118万人と推計され、60歳以上の人が31万人+42万人=73万人で、おそらくこのうちの約68万人が対象になるということでしょう。

無年金者の現状

無年金者の現状

出典:https://www.nenkin.go.jp/

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ちなみに65歳以上の無年金者の内訳は下記のとおり約42万人です。

このうち約17万人が年金を受給できるようになりそうです。

65歳以上の無年金者(約42万人)の納付済み期間の分布

出典:https://www.nenkin.go.jp/

65歳以上の無年金者:約42万人

10年以上25年未満の人:19%+15%+6%=40%

42万人x40%=16.8万人≒17万人

対象となる年金

老齢基礎年金、老齢厚生年金、退職共済年金、寡婦年金、これらに準じる旧法老齢年金(遺族年金は資格期間25年で対象外)

改正年金機能強化法の施行

出典:https://www.nenkin.go.jp/

資格期間とは

  • 国民年金の保険料を納めた期間や、免除された期間
  • サラリーマンの期間(船員保険を含む厚生年金保険や共済組合等の加入期間)
  • 年金制度に加入していなくても資格期間に加えることができる期間(「カラ期間」と呼ばれる合算対象期間)

カラ期間とは

  1. 昭和61(1986)年3月以前に、国民年金に任意加入できる人が任意加入しなかった期間、
  2. 平成3(1991)年3月以前に、学生であるため国民年金に任意加入しなかった期間、
  3. 昭和36(1961)年4月以降海外に住んでいた期間、(1)~(3)のうち、任意加入を行い、保険料が未納となっている期間などがあります。(いずれも20歳以上60歳未満の期間)

どれくらいもらえる?

老齢基礎年金(国民年金)のみの計算式は以下のとおりです。

779,300円×加入期間(月数)(保険料納付期間)/480

ちなみにおおよそ年数別に表にすると以下の通り。

資格期間年額月額
10年194,825円16,235円
15年292,237円24,353円
20年389,650円32,470円
25年487,062円40,588円
40年779,300円64,941円

資格期間が25年に限りなく近く満たなかった人は、年額で約49万円、月額で約4万円もらえるようになるわけですから、大きいですよね。

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生活保護費を受給している人はどうなるの?

無年金の人の場合、生活保護費を受給している人も多いのではないかと思います。

生活保護費を受給している場合はどうなるのか?

生活保護費は最低生活費という基準があって、それに満たない場合保護費を支給するという考え方ですので、おそらく年金が増えた分、支給される保護費が減額されるということになると思います。

支給される生活保護費

出典:https://www.nenkin.go.jp/

生活保護費は4分の3は国が負担し、残り4分の1が自治体で負担しています。

結果的に、無年金の人が減って生活保護費負担もることになります。

つまり、国や自治体の負担を年金の財源から負担する格好になるということではないでしょうか?

厚生労働省によれば、2017年3月に生活保護を受けた「被保護世帯」は1,641,532世帯で、高齢者世帯が855,586世帯で52.1%に達しています。

私はひねくれた見方なのかもしれませんが、高齢者の無年金者救済と体のいいことにしておいて、実は国や自治体の負担を減らしたように思えてなりません。

改正年金機能強化法とは?施行状況は?

ちなみに、改正年金機能強化法とはどんな法律なのかについても調べてみました。

改正年金機能強化法とは「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律」(平成28年法律第84号)のことで、年金制度の改正を行うもので、平成28年11月24日に公布され、平成26年4月1日から順次施行されています。

  • 基礎年金の国庫負担の割合2分の1を恒久化(平成26年4月施行)
  • 産休期間中の保険料免除(平成26年4月施行)
  • 遺族基礎年金の支給対象を父子家庭に拡大(平成26年4月施行)
  • 短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大(①週30時間以上→週20時間以上、②月額賃金8.8万円以上、(年収106万円以上)、③勤務期間1年以上、④学生は適用除外、⑤従業員 501人以上の企業)(平成28年10月施行)
  • 年金受給資格期間を10年に短縮(平成29年8月施行)

これら施行状況を見ると、国民にとって悪いことではなさそうに見えます。

しかし、年金支給の適用範囲を拡大したところが、財源は税収か年金保険料になるわけですから、最終的には国民が負担していくことになるように思います。

資格期間を25年から10年に短縮するということは、年金保険料を払う人を増やすことにもつながりますしね。

コチラの記事「高齢者の定義年齢見直しで年金支給開始年齢の引き上げの可能性は?財政検証結果から考えてみた」に書いたように、最近の政府は「財政検証結果」に基づいた動きをしているように思えます。

「財政検証結果」の中で、年金財政の将来に対して下記のようなオプション試算が提示されています。

①物価や賃金の伸びが低い場合でもマクロ経済スライドがフルに発動するように仕組みを見直した場合・・・年金支給額を抑える

②被用者年金の更なる適用拡大を行った場合・・・適用者の範囲を広げて年金保険料を収める人を増やす

③保険料拠出期間の延長や受給開始年齢の繰下げを行った場合・・・年金支給開始年齢を引き上げる(年金保険料を収めるのが長くなる)

 

まぁ文句を言ったところが、国にうまく運用してもらうことを祈るしか方法はなさそうですけどね。

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