年金生活者の実態が苦しいのは昔から?所得代替率推移を調べてみた
2016/12/04
目次
年金生活者の実態が苦しいのは昔から?
50代になって老後や年金のことを調べていると、私たちが年金だけを頼りにして老後生活を送る場合、快適というか楽しいというレベルにはほど遠いということがわかってきました。
私はずっと、学校を卒業して会社で働いて勤め上げたら、退職金をもらって年金暮らしであとは悠々自適というイメージを持っていました。
しかし、年金は現役時代の所得の6割くらいしかもらえないということがわかってきましたから、そのイメージは崩れ去りました。
しかし、どうも疑問に感じていたことがありました。
それは、私たちより前の世代の人達の年金はどうだったのか?
年金受給者と生産年齢人口の比率も、今よりはずっとよかったはずですから、年金もたくさんもらえたんじゃないか?
年金生活でも楽に悠々自適に暮らせたんじゃないか?
というイメージをなんとなく持っていました。
そこで今回は以前は年金がどんなレベルで受給できていたのかについて調べてみました。
年金額と所得代替率の推移
年金をもらって生活が楽だったのかどうなのか?
どんな基準で判断すればいいのか?
いろいろ考えてみましたが、年金の給付水準を示す「所得代替率」の推移を調べてみるといいと思いました。
「所得代替率」とは、現役世代の手取り所得(ボーナス込み)
つまり、現役世代と比べて年金暮らしは悠々自適だったかどうかを表す数値ということです。
下の表は年金の歴史とともに「年金額」「平均報酬月額」「所得代替率」を、おおよその年で比較したものです。
(「所得代替率」=「年金額」÷「平均報酬月額」です。)
Sponsored Link ※横スライドで動きます←→改正概要 | 加入期間 | 年金額 | 平均報酬月額 | 所得代替率 | |
昭和17(1942)年 | 労働者年金保険法(厚生年金保険法)の発足 | ||||
昭和29(1954)年 | 厚生年金保険法の全面改正 | ||||
昭和36(1961)年 | 国民年金法の全面施行(国民皆年金) | ||||
昭和40(1965)年 | 1万円年金 | 20年 | 1万円 | 2.8万円 | 36% |
昭和44(1969)年 | 2万円年金 | 24.4年 | 2万円 | 4.5万円 | 45% |
昭和48(1973)年 | 5万円年金、物価スライド制の導入、標準報酬の再評価等 | 27年 | 5.2万円 | 8.5万円 | 62% |
昭和51(1976)年 | 28年 | 9万円 | 14.1万円 | 64% | |
昭和55(1980)年 | 30年 | 13.6万円 | 20.1万円 | 68% | |
昭和60(1985)年 | 基礎年金の導入、給付水準の適正化等 | 40年 | 17.6万円 | 25.4万円 | 69% |
平成1(1989)年 | 完全自動物価スライド制の導 入 | 40年 | 19.7万円 | 28.8万円 | 69% |
平成6(1994)年 | 厚生年金の(定額部分)の支給 開始年齢引上げ | 40年 | 23.1万円 | 34万円 | 68% |
平成12(2000)年 | 厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢引上げ | 40年 | 23.8万円 | 36.7万円 | 65% |
平成16(2004)年 | マクロ経済スラ イドの導入 | 40年 | 23.3万円 | 39.3万円 | 59% |
この表を見ると、戦前の昭和17(1942)年に労働者年金保険法(昭和19(1944)年に厚生年金保険法に改称)が発足していますが、戦争に入って混乱して整備が遅れたんでしょうね。
終戦後9年経過の昭和29(1954)年に厚生年金保険法の全面改正が行われ、昭和36(1961)年に国民年金法の全面施行で「国民皆年金」というカタチになったようです。 その後、年を追うごとに昭和40(1965)年「1万円年金」、昭和44(1969)年「2万円年金」、昭和48(1973)年「5万円年金」とありますが、これは国民年金月額夫婦2人分です。
「所得代替率」は昭和40(1965)年で39%、昭和44(1969)年45%、昭和48(1973)年62%です。
その後60%代の「所得代替率」でだんだん60%を切るようにはなってきています。
表にはありませんが、ちなみに2014年度は現役世代の平均収入34.8万円に対して、夫婦の年金収入が所得代替率62.7%の21.8万円です。
このことからすると、大雑把ですが現役時代の6割(当初3割代)の年金収入をもらっていたわけですから、年金生活者の実態が苦しいのは今とあまり変わらなかったということがわかります。
つまり、年金収入だけで暮らすなら、贅沢をせずに現役時代の半分くらいの生活レベルで暮らさなければいけなかったんですね。
私たちは年金生活に入る前に、節約することを憶えておかないといけないということですね。
年金局の資料にこんなことが書いてありました↓
現代は、都市で会社勤めをして親と別居する人が多くなり、平均寿命も長くなったため、親を養うための 費用が大きくなってきており、自分で親を養うことが難しくなっている。
こういった社会の変化の中で、社会 全体で高齢者を支える年金制度が整備されてきた。
→ 公的年金制度があるおかげで、現役世代は年金の保険料を払えば、親の老後を個別に心配すること なく安心して生活を送れる仕組み
関連記事↓
年金は今後どうなる?本当にもらえるのか?所得代替率と受給額のこれから
平均月収の推移
しかし、昭和40(1965)年の頃、平均月収2.8万円で暮らしていたなんて、ちょっと信じられなかったので、平均月収の推移もついでに調べてみました。
下のグラフを見ると、昭和45(1970年)あたりから、急激に角度が上を向いていっています。 高度成長期ということですね。
出典:http://nenji-toukei.com/ ? ?
下の表がグラフを数字にしたものですが、黄色い色のところは、上の年金の表とリンクした年です。
数字に差はありますが、月給のレベルのイメージとしては一致しています。
ですから、年金暮らしは昔から楽ではなかったということですかね。
私は楽しく暮らしたいので、年金以外の収入を得たいと思っていますが。
年 | 月給 |
1958 (昭33) | 16,608円 |
1959 (昭34) | 17,354円 |
1960 (昭35) | 18,458円 |
1961 (昭36) | 20,021円 |
1962 (昭37) | 22,894円 |
1963 (昭38) | 25,234円 |
1964 (昭39) | 27,200円 |
1965 (昭40) | 30,300円 |
1966 (昭41) | 33,100円 |
1967 (昭42) | 36,200円 |
1968 (昭43) | 43,200円 |
1969 (昭44) | 48,900円 |
1970 (昭45) | 58,400円 |
1971 (昭46) | 66,100円 |
1972 (昭47) | 76,000円 |
1973 (昭48) | 92,800円 |
1974 (昭49) | 115,200円 |
1975 (昭50) | 131,000円 |
1976 (昭51) | 143,900円 |
1977 (昭52) | 158,400円 |
1978 (昭53) | 169,000円 |
1979 (昭54) | 179,100円 |
1980 (昭55) | 191,700円 |
1981 (昭56) | 203,200円 |
1982 (昭57) | 213,100円 |
1983 (昭58) | 219,900円 |
1984 (昭59) | 228,900円 |
1985 (昭60) | 237,400円 |
1986 (昭61) | 243,800円 |
1987 (昭62) | 249,500円 |
1988 (昭63) | 257,600円 |
1989 (平1) | 269,300円 |
1990 (平2) | 283,800円 |
1991 (平3) | 295,900円 |
1992 (平4) | 301,600円 |
1993 (平5) | 305,600円 |
1994 (平6) | 313,300円 |
1995 (平7) | 317,500円 |
1996 (平8) | 322,500円 |
1997 (平9) | 327,900円 |
1998 (平10) | 325,900円 |
1999 (平11) | 327,300円 |
2000 (平12) | 331,300円 |
2001 (平13) | 334,800円 |
2002 (平14) | 330,900円 |
2003 (平15) | 331,300円 |
2004 (平16) | 331,600円 |
2005 (平17) | 331,600円 |
2006 (平18) | 332,700円 |
2007 (平19) | 331,900円 |
2008 (平20) | 329,500円 |
2009 (平21) | 319,300円 |
2010 (平22) | 323,600円 |
2011 (平23) | 324,600円 |
2012 (平24) | 326,000円 |