一億総活躍社会の意味とは?65歳「完全現役」70歳「ほぼ現役」、シルバー世代?ゴールド世代?
2017/10/04
目次
政府自民党の一億総活躍推進本部プロジェクトチームがまとめた「一億総活躍社会の構築に向けた提言」が、5月11日、加藤一億総活躍担当大臣に提出されました。
少子高齢化の急速な進行で、年金の運営が困難になっていき、やはり「一億総活躍社会」とは「一億総労働社会」という印象です。
この中で、50代にとって大きく関係しそうな部分を抜粋してみました。
できるだけカンタンにわかりやすく説明するつもりです。。。ちょっと読んでみて下さいね。
一億総活躍社会の構築に向けた提言
提言の内容はざっと以下のとおりです。
- 女性活躍・子育て・幼児教育に関する提言
① 女性活躍支援
② 子育て支援
③ あらゆる人々への支援 - 産婦人科・小児科医師足偏在問題対策に関する提言
① 無産科 2 次医療圏問題の解消
② 医学部入学地元枠・診療科枠の推進
③ 初期臨床研修での産科・小児科の必修化
④ 専門医制度の抜本的な改善 - 65歳以上のシニアの働き方・選択の自由度改革に関する提言
① 65 歳まで「完全現役」で働ける社会づくり
② 働き方の選択肢を広げる年金制度への見直し
③ 高齢者のアクティブな活躍の促進
④ 高齢者のアクティブな活躍のための環境整備 - IOHH 活用健康寿命革命に関する提言
① 転ばぬ先の杖の強化・多様化
② データヘルスの充実、地域包括ケアのための医療・介護連携強化・ICT 化
③ 地域住民による通いの場づくり等の推進・普及
④ 「未病」産業の育成、大阪万博を見据えた世界展開・世界標準の確立
- 若者の雇用安定・活躍加速に関する提言
① 小中学校からのキャリア教育の推進と、進路指導の充実
② 自治体や地元経済界と連携しての大学や高等専門学校等の新設・再編・統合・退出
③ 起業、IT、国際機関、マネジメントなどの分野での若者の活躍
④ 生活保護や施設養護、障害など、困難な状況にある若者の活躍
- 誰もが活躍する社会に関する提言
① 外国人留学生と日系人の活躍について
② 生活困窮者の活躍の為の支援について
③ 一億総活躍を支える税と社会保障について
- その他
この中で、50代の私が気になったのが、「65歳以上のシニアの働き方・選択の自由度改革に関する提言」です。
以下、カンタンに説明しますね。
65歳「完全現役」70歳「ほぼ現役」、シルバー世代?ゴールド世代?
我が国は、少子高齢化の急速な進行によって、「支える」人と「支えられる」人のバランスが悪化している。
「支える人」というのは、15~64歳までのいわゆる「現役世代」のことで、「支えられる人」は65歳以上のいわゆる高齢者のことで個人差はありますが、「年金受給世代」と考えていいでしょう。
年金をもらう65歳以上の人口(老年人口)は団塊の世代の人口の影響もあり増え続け、2042年でピークに達するそうです。
そして、下の表のとおり、支えられる人(65歳以上)/支える人(15~64歳)の比率は、2015年の段階で1/2.3、2030年で1/1.9、2042年においては1/1.5ということになります。
ところが、70歳まで働くと想定すれば、支えられる人(65歳以上)/支える人(15~64歳)の比率は、改善するということです。
支えられる人/支える人 | 2015年 | 2030年 | 2042年 |
65歳以上/15~64歳 | 1/2.3 | 1/1.9 | 1/1.5 |
70歳以上/15~69歳 | 1/3.6 | 1/2.6 | 1/2.2 |
70歳以上/18~69歳 | 1/3.5 | 1/2.5 | 1/2.1 |
そして、65歳までは「完全現役」、70歳までは「ほぼ現役」として、 65歳~74歳までは、「シルバー世代」として、本人が希望する限りフルに働ける環境を国・地方・産業界挙げて整備し、支える人を増やすという。
つまり、このままでは年金が立ち行かなくなるので、支えられる人を減らして、支える人になってもらうということですね。
やはり、65歳までは「年金を受給せずに、働きなさいよ」ということですね。
そして、65歳~74歳までの「シルバー世代」は「働ける人はできるだけ働いてね」ということでしょう。
これには、健康寿命も絡んでいるのではないかと思います。
我が国の健康寿命は、男性71.19歳、女性74.21歳です。
出典:https://locomo-joa.jp/locomo/03.html
男性の健康寿命から考えれば、70歳までは「ほぼ現役」、女性の健康寿命を考慮すれば、74歳までは「シルバー世代」で働けるはず。
そして、75歳以上は、人生のファイナルステージこそゴールデンエイジであるべき、 との考え方で「ゴールド世代」として、未病段階から、高頻度で簡単に検知可能なデータヘルス関連技術(Internet of Human Health:IOHH)を活用し、 本人の希望や体力に応じて、幅広く活躍できる環境を整えるとのこと。
IOHH(Internet of Human Health:インターネット・オブ・ヒューマン・ヘルス)とは、個人の健康データをインターネット上に蓄積して、健康状態を把握し、病気を未然に防いだり、健康寿命を延ばしたりしようという考え方で、医療・介護費用の削減に役立つと、自民党の片山さつき議員が提唱しています。
75歳以上になっても、できるだけ病院の世話にならないよう、病気とかにも気をつけて、社会参加してくださいねということでしょう。
ちなみに、内閣府の「平成28年版高齢社会白書」によると、公的年金・恩給が総所得のすべてである高齢者世帯は56.7%で、貯蓄の主な目的は「病気や介護への備え」が62.3%を占め、就労を希望する高齢者の割合は71.9%です。
年金だけでは、健康や家計に対する不安が大きいことは確かです。
まぁ確かに働いていたほうが、定年退職してこれといってすることがなく、家に閉じこもっているよりは健康にもいいし、ハリのある生活が送れるのかもわかりません。
でも、年金の支給開始年齢がどんどん遅れていくと、自分の寿命がわからないまでも決まっている以上、なんとなく損しそうな感じは拭いきれませんね。
国・地方・産業界挙げて整備する環境としては、
①65歳まで「完全現役」で働ける社会づくり
公務員の定年を現行の65歳から65歳へ引上げ、民間企業における65歳までの「完全現役」の推進、高年者の新たな活躍の場の発掘や、セカンドライフ支援制度による50代までの出向支援・学び 直し等(人生二毛作の発想)を支援する。
②働き方の選択肢を広げる年金制度への見直し
現行の年金制度では、支給開始65歳が原則で、支給開始年齢を60歳~70歳まで選ぶことができますが、70歳以降の年金受給開始をも選択可能とし、増額年金の受給及び厚生年金継続加入が可能となるよう見直しを検討。
③高齢者のアクティブな活躍の促進
シルバー人材センターの更なる機能強化、大企業退職者を対象とする「OB・OG シルバー人材センター」 のヨコ展開を支援。
④高齢者のアクティブな活躍のための環境整備 民間事業者の「見守り」
リバースモーゲージの活用拡大による、シルバー・ゴールド世代の活動原資確保、シルバー・ゴールド世代の安全運転支援やラストワンマイル用の自動走行技術・車両の早期実現化、空き家活用型の高齢者住宅・施設等整備の支援。
というようなことが提言されています。
高齢になっても、働ける環境は整えられていくようですね。
↓詳しいいことはこちらです
まとめ
我々の世代がイメージしてきた、一生懸命勉強して、いい会社に就職して必死で働いた後、定年退職して退職金と年金で悠々自適で生活できるという時代は、既に終わっているということですね。
高齢になっても、働きつづけるために、今からスキルを磨いたり、自己投資をするなりして、「自分の資産」と呼べるものを蓄積していく必要がある時代に突入している気がします。
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