高齢社会対策大綱とは?年金支給開始年齢は70歳に引き上げられる?
2018/08/26
目次
政府がまとめた「高齢社会対策大綱(案)」について内容が明らかになったことで、報道関係を賑わしています。
中でも、公的年金の受給開始年齢について70歳以降を選択可能とすることが盛り込まれたことにインパクトがあったようです。
「高齢社会対策大綱(案)」の原文をネットで探してみましたが、残念ながら見つけることができませんでした。
やはり(案)の段階なので、報道関係者だけに公開されたんでしょうかね。
そんなわけで、「高齢社会対策大綱(案)」については、報道を参考にして記載しますが、今回は「高齢社会対策大綱」とは何なんだ?今後私たちにどんなふうに影響してくるのか?について調べてみました。
高齢社会対策大綱とは何?
高齢社会対策大綱とは何?ってことについてできるだけわかりやすく説明しますね。
高齢社会対策大綱とは、高齢社会対策基本法に基いて、政府が高齢社会対策を推進するため、中長期にわたる基本的かつ総合的な指針となるよう、作成が義務付けられているものです。
高齢社会対策基本法とは、1995(平成7)年、高齢社会対策を総合的に推進するための基本事項を定めた法律で、これに基づき内閣府に高齢社会対策会議が設置され、高齢社会対策大綱が作成されます。
そして、この高齢社会対策大綱がまとまると、閣僚が会議をして、内閣としての意思決定である閣議決定を行い、その後内閣総理大臣が行政各部を指揮監督する、という流れになります。
つまり、高齢社会対策大綱とは高齢化社会にどう対策していくかについての指針であり、閣議決定でまとまれば、それに基づいて各行政機関に指示が飛ぶというわけですね。
今回明らかになったのは改正案であり、1月17日に自民党の部会で了承された段階です。
政府は今後の見通しとして、1月中に閣議決定し、その後具体的な施策作りを進めるということです。
そして、その施策が作られれば、各行政機関に反映されてくるというわけですね。
だから、おおよそ高齢社会対策大綱のとおりになっていくと考えていいわけです。
Sponsored Link高齢社会対策大綱(案)
高齢社会対策大綱(案)は原文が見つかりませんでしたので、報道関係のサイトから抜粋したポイントを記載します。
以下に記載しますが、これでも、おおよその流れは読み取れます。
「65歳以上を一律に『高齢者』と見る一般的な傾向は、現状に照らせばもはや、現実的なものではなくなりつつある」
「高齢者の体力年齢は若くなり、社会との関わりを持つ意欲も高い」
「年齢区分による画一化を見直し、全ての年代の人が希望に応じて活躍できるエイジレス社会を目指す」
基本政策
- 副業、兼業に関し労働者の健康確保に留意しつつ、普及促進を図る
- 起業の意欲を有する高齢者に対して日本政策金融公庫の融資を含めた資金調達などの支援を行う
- 70歳以降の受給開始を選択可能とするなど、年金受給者にとってより柔軟で使いやすいものとなるよう制度の改善に向けた検討を行う
- 介護職員の処遇改善による人材確保
- 介護基盤サービス付の高齢者向け住宅の整備
- 仕事と介護を両立できる雇用・就業環境の整備
- QOL(Quality of Life=生活の質)の観点を含めた高齢のがん患者に適した治療法などを確立する研究を進める
数値目標
項目 | 現状 | 目標 | ||
60~64歳の就業率 | 63.6% | 2016(平成28)年 | 67% | 2020(平成32)年 |
健康寿命 | 男性71.79歳 | 2013(平成25)年 | 1歳以上延伸 | 2020(平成32)年 |
女性74.21歳 | 2013(平成25)年 | 2歳以上延伸 | 2025(平成37)年 | |
40~74歳の検診受診率 | 71% | 2016(平成28)年 | 80% | 2020(平成32)年 |
介護職員数 | 183.1万人 | 2015(平成27)年度 | 231万人 | 2020(平成32)年度以降 |
介護施設・サービスを利用できないことを理由とする介護離職者数 | 10.1万人 | 2012(平成24)年度 | 0人 | 2020(平成32)年度初頭 |
認知症サポーター | 880万人 | 2016(平成28)年度末 | 1200万人 | 2020(平成32)年度末 |
ロボット介護機器の市場規模 | 24.7億円 | 2015(平成27)年 | 500億円 | 2020(平成32)年 |
簡単にまとめると、高齢になっても働けるように、就業支援や起業支援をしたり、介護環境を整備して介護離職も減らしたり、健康寿命に留意したり、がんなどの治療法を確立するなどして、できるだけ長く働けるようにしていくようですね。
年金支給開始年齢は70歳に引き上げられる?
一番気になるのは公的年金が何歳からもらえるのか?
現行制度では65歳から70歳まで選択できます。
今回の報道を見て、年金支給開始年齢は70歳に引き上げられる?と不安に感じた人も少なくないでしょう。
今回の改正では「70歳以降の受給開始を選択可能」ということですから、65歳からでも受給可能ですが、70歳以降に受給開始を伸ばす(繰り下げ支給)ことも選択可能ということですね。
何歳まで延ばせるのかは検討中のようですが、これまで大綱案を議論してきた内閣府の有識者検討会では、75歳まで繰り下げ受給という意見も出ているようです。
ですから「65歳から75歳まで繰り下げ受給可能」というのが濃厚ではないでしょうか。
でも、いずれは年金支給開始年齢は70歳に引き上げられる日も来るかもわかりませんね。
まとめ
「65歳以降も働かなきゃいけないのか、いやだな」というのが、私の正直な気持ちです。
しかし、年金だけではいい暮らしはできないので、働けるうちは65歳以降も働くということは避けては通れない現実だと思います。
これは、少子高齢化、人口減少という大きな流れが変わらない限り、どの政党が運営しても大きくは変わらないと思うからです。
いずれにしても、高齢になっても働く覚悟が必要な時代なんでしょうね。
そんなことから考えれば、私達ができることは、健康維持と職場確保かもしれません。
できるだけ長い間健康でいられるよう、酒やたばこなどはできる限り控えめにして、運動する習慣を作ったりするなど、生活習慣などに注意しましょう。
また、再就職の窓口が大きくなるように職場との関係を良くしておいたり、起業するために資格取得などの勉強をしたり、できるだけ長い間働けるように、自分自身の就労環境を整えていくことではないかと思います。
しかし、考え方を変えてみれば、定年退職してやることがなくて、家でゴロゴロしたり、図書館で時間をつぶしたりしているよりは、働いていたほうが気も紛れるし、収入も入るし、健康でいられるのかもわかりませんね。
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