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高齢者の定義年齢見直しで年金支給開始年齢の引き上げの可能性は?財政検証結果から考えてみた

      2017/08/24

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年金支給開始年齢の引き上げは?

日本老年学会が高齢者の定義年齢を65歳以上から10歳も引き上げ、75歳以上と提言したことで、今後、年金支給開始年齢の引き上げにつながるんだという懸念が、新聞など各種マスコミで騒がれています。

日本も少子高齢化の波には逆らえないでしょうから、今後はいきなり10歳とは行かないまでも、67歳とか68歳とか段階的に年金支給開始年齢を引き上げていくんでしょうね。

企業も定年退職の延長をはかって、どんどん1億総活躍社会へと進んでいくわけです。

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今回は、年金支給開始年齢がどんなイメージで引き上げられるのか、公的年金制度の将来について、厚生労働省が検証した資料を見てみたいと思います。

その中で、オプション試算というものがあって、どうやら制度改正を想定しているようです。

どんなイメージで想定されているのか、ちょっとご紹介しますね。

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平成26年財政検証結果から考えてみた

年金支給開始年齢が引き上げられる可能性はどうなのか?

厚生労働省は年金財政の将来を検証するために、5年に1度「財政検証結果」を発表しています。

最近のものでは、平成26年6月3日 に発表した「国民年金及び厚生年金に係る 財政の現況及び見通し ー 平成26年財政検証結果 ー」という資料があります。

年金制度の将来を占う財政検証は①将来推計人口(少子高齢化の状況)、②労働力率、③経済の3つの前提から試算されています。

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①将来推計人口(少子高齢化の状況)の前提

将来人口推計は出生率と死亡率について中位、高位、低位の3通りをそれぞれ設定しています。

将来推計人口(少子高齢化の状況)の前提

②労働力率の前提

労働力率は「労働力需給推計」((独)労働政策研究・研修機構)と 「労働市場への参加が進むケース」、「労働市場への参加が進まないケース」を仮定しています。

③経済の前提

経済は内閣府が生産性のレベルがどう変わるかによって、経済予測をした「中長期の経済財政に関する試算」などから、将来の経済状況の仮定をしています。

生産性のレベルは全要素生産性(TFP)上昇率という数値が用いられています。

全要素生産性(TFP)上昇率は簡単に言えば「技術上の進歩」と考えてください。

TFPの上限はほぼバブル期の1983年から1993年の平均1.8%で、下限は1983年から2009年の平均1.0%で内閣府は試算しています。

厚生労働省はさらに細分化して、ケースA(TFP=1.8%)からケースH(TFP=0.5%)まで幅を広げて想定しています。

全要素生産性(TFP)上昇率

全要素生産性(TFP)上昇率

 

これらのことを踏まえて

経済:ケースA(TFP=1.8%)からケースH(TFP=0.5%)、人口:出生率と死亡率(すべて中位=合計特殊出生率(2060) 1.35 、平均寿命(2060) 男 84.19歳 女 90.93歳 )、 労働:労働市場への参加が進むケースと進まないケース、物価上昇率、賃金上昇率、年金運用利回りなどの要素をかけあわせて試算しています。

  将来の経済状況の仮定 経済前提 (参考)
労働力率 全要素生産性 (TFP)上昇率 物価上昇率 賃金上昇率 (実質<対物価>) 運用利回り 経済成長率 (実質<対物価>) 2024年度以降20~30年
実質
<対物価>
スプレッド
<対賃金>
ケースA 労働市場への参加が進むケース 1.8% 2.0% 2.3% 3.4% 1.1% 1.4%
ケースB 1.6% 1.8% 2.1% 3.3% 1.2% 1.1%
ケースC 1.4% 1.6% 1.8% 3.2% 1.4% 0.9%
ケースD 1.2% 1.4% 1.6% 3.1% 1.5% 0.6%
ケースE 1.0% 1.2% 1.3% 3.0% 1.7% 0.4%
ケースF 労働市場への参加が進まないケース 1.0% 1.2% 1.3% 2.8% 1.5% 0.1%
ケースG 0.7% 0.9% 1.0% 2.2% 1.2% ▲0.2%
ケースH 0.5% 0.6% 0.7% 1.7% 1.0% ▲0.4%

結果、年金将来はどうなるかというと、ケースHのように労働市場への参加が進まず、経済状況が悪い場合は、所得代替率が39.0%と40%を切っています。

ケース 平成26(2014)年度 平成62(2050)年度
現役世代の平均収入 所得代替率 夫婦の年金額 現役世代の平均収入 所得代替率 夫婦の年金額
ケースA 34.8万円 62.7% 21.8万円 67.5万円 50.9% 34.4万円
ケースB 64.3万円 50.9% 32.7万円
ケースC 59.7万円 51.0% 30.4万円
ケースD 56.8万円 50.8% 28.9万円
ケースE 52.7万円 50.6% 26.6万円
ケースF 51.3万円 45.7% 23.4万円
ケースG 51.5万円
※2058年度
42.0%
※2058年度
21.6万円
※2058年度
ケースH 45.6万円
※2055年度
39.0%
※2055年度
17.8万円
※2055年度

さらに、財政検証では、現行制度に基づくに試算に加えて、一定の制度改正を仮定した試算「オプション試算」しています。

オプション資産は制度改正を想定したもの!?

オプション試算は次の3つのケースを想定して試算されています。

①物価や賃金の伸びが低い場合でもマクロ経済スライドがフルに発動するように仕組みを見直した場合

②被用者年金の更なる適用拡大を行った場合

③保険料拠出期間の延長や受給開始年齢の繰下げを行った場合

これら3つのケースをカンタンに説明します。

①物価や賃金の伸びが低い場合でもマクロ経済スライドがフルに発動するように仕組みを見直した場合

2004年に導入されたマクロ経済スライドは、物価や賃金の伸びが低い場合、現行の仕組みではフルに発動しないケースがあるため、仕組みを変えて、フルに発動される仕組みとした場合、所得代替率の減少がプラスに転じると試算しています。

物価・賃金の伸びが低い場合でもマクロ経済 スライドによる調整がフルに発動される仕組みとした場合

②被用者年金の更なる適用拡大を行った場合

被用者年金とは厚生年金、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済です。

これらの年金の対象者を増やす、つまり年金保険料を払う人を増やして保険料の全体総額を増やすという考え方のようですね。

拡大の対象者となるのは、月収5.8万円以上の人で、①週に20時間以上、②月収5.8万円以上全員の2種類のオプションで試算しています。

つまり、フルタイムでなくパートなどや非正規雇用の人を厚生年金などの対象にした場合ということですね。

被用者年金の更なる適用拡大を行った場合

 

①一定の賃金収入(月 5.8 万円以上)のある、所定労働時間週20時間以上の短時間労働者へ適用拡大した場合

この場合、被用者年金を支払う人が220万人増えることになります。

被用者保険の更なる適用拡大を行った 場合 ①週 20 時間以上の短時間労働者を適用(約 220 万人拡大)

②一定の賃金収入(月 5.8 万円以 上)がある全ての被用者へ適用拡大した場合

この場合、被用者年金を支払う人が1200万人増えることになります。

被用者保険の更なる適用拡大を行った 場合 ②一定以上の収入のある全雇用者を適用(約 1,200 万人拡大)

①週に20時間以上、②月収5.8万円以上全員の2種類のオプションいずれも所得代替率が改善されます。

③保険料拠出期間の延長や受給開始年齢の繰下げを行った場合

退職年齢と受給開始年齢を 65~70 歳とした場合の給付水準の変化

退職年齢と受給開始年齢を 65~70 歳とした場合の給付水準の変化

この試算では年金受給開始年齢引き上げが70歳までで、75歳の想定はしていないようです。

 

このように、

①物価や賃金の伸びが低い場合でもマクロ経済スライドがフルに発動するように仕組みを見直した場合・・・年金支給額を抑える

②被用者年金の更なる適用拡大を行った場合・・・適用者の範囲を広げて年金保険料を収める人を増やす

③保険料拠出期間の延長や受給開始年齢の繰下げを行った場合・・・年金支給開始年齢を引き上げる(年金保険料を収めるのが長くなる)

ということになりますから、公的年金制度は存続可能というわけです。

①年金支給額を少なくする、②適用者の範囲を広げて年金保険料を収める人を増やす、③年金支給開始年齢を引き上げるなど、制度改正をすればなんとかなるなんて、なんだか、カンタンな感じがしますね。

年金支給開始年齢が70歳に引き上げられたら、健康状態もどこかガタがきて、老後を楽しめるのかな?

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