生涯未婚率とは?計算法は?推移や予測・原因はどうなのか調べてみた
2020/01/12
目次
「生涯未婚率」が増加の一途を辿っているようです。
2015年の国勢調査のデータを元に、国立社会保障・人口問題研究所が生涯未婚率を算出したところ、
男性は23・37%、女性は14・06%だったようです。
私は50代ですが、確かに周りでチラホラ独身の人を目にします。
最近ニュースなどでよく耳にする「生涯未婚率」、
気になったので、どんな意味なのか?算出方法や推移はどうなっているのか?
今後はどのように推移が予測されているんでしょう?
気になったので調べてみました。
生涯未婚率とは?
「生涯未婚率」とは、50歳の時点で結婚したことがない人の割合のことです。
未婚ですからバツイチとかバツニではなく「結婚したことがない人」ですよ。
注意しないといけないのは、生涯未婚率は「50歳時の未婚率」で、
50歳の時点で結婚したことがない人の割合ですが、生涯未婚である人の割合ではありません。
一生涯独身だった人の割合は、その人が死亡してからしかデータがとれませんからね。
ただし、50歳で未婚なら、その多くの人が将来的にも結婚する予定がないと予測できることから、
生涯独身でいる人がどのくらいいるかを示す統計指標として使われています。
2015年の生涯未婚率は男性は23・37%、女性は14・06%ということでした。
50歳の男性は約4人に1人が結婚したことがなく、未婚であるというのは驚きですね。
Sponsored Link生涯未婚率の計算方法は?
生涯未婚率とはどのようにして算出されているのでしょう?
生涯未婚率は「45~49歳の未婚率」と「50~54歳の未婚率」の平均値から算出されています。
つまり、(45~49歳の未婚率 + 50~54歳の未婚率)÷ 2 = 生涯未婚率 という単純平均値ということですね。
それでは実際に計算してみます。
ちなみに、平成27年国勢調査(2015年10月1日現在)によれば、年齢別(5歳階級)未婚率は表のとおりです。
年齢 | 未婚率(%) | 男(%) | 女(%) |
総数(年齢) | 27.14 | 31.59 | 23.04 |
15~19歳 | 99.57 | 99.67 | 99.46 |
20~24歳 | 93.32 | 95.05 | 91.54 |
25~29歳 | 67.32 | 72.85 | 61.71 |
30~34歳 | 41.14 | 47.30 | 34.94 |
35~39歳 | 29.63 | 35.15 | 24.03 |
40~44歳 | 24.74 | 30.02 | 19.39 |
45~49歳 | 21.08 | 25.93 | 16.21 |
50~54歳 | 16.40 | 20.86 | 11.97 |
55~59歳 | 12.41 | 16.62 | 8.30 |
60~64歳 | 9.78 | 13.54 | 6.18 |
65~69歳 | 7.17 | 9.26 | 5.23 |
70~74歳 | 4.73 | 5.23 | 4.29 |
75~79歳 | 3.55 | 3.15 | 3.86 |
80~84歳 | 3.12 | 2.00 | 3.89 |
85~89歳 | 3.04 | 1.33 | 3.93 |
90~94歳 | 2.62 | 0.90 | 3.19 |
95~99歳 | 2.16 | 0.83 | 2.45 |
100歳以上 | 2.20 | 1.51 | 2.31 |
(再掲)65歳以上 | 4.70 | 5.27 | 4.27 |
(再掲)75歳以上 | 3.21 | 2.33 | 3.77 |
(再掲)85歳以上 | 2.85 | 1.21 | 3.56 |
表のデータから計算すると
男性の未婚率(2015年)
(25.93%(45~49歳の未婚率)+ 20.86%(50~54歳の未婚率))÷ 2 = 23.39%
女性の未婚率(2015年)
(16.21%(45~49歳の未婚率)+ 11.97%(50~54歳の未婚率))÷ 2 = 14.09%
2015年の未婚率を計算してみると、男性が23.39%、女性が14.09%ということになります。
国立社会保障・人口問題研究所の発表したデータと多少の差異があるのは、
わかりやすくするために、年齢別(5歳階級)未婚率の表データを小数点第2位までにしたからだと思われます。
生涯未婚率の推移
生涯未婚率の推移がどうなっているか、他の年齢とも比較して調べてみました。
男性の生涯未婚率の推移
年次 | 20~24歳 | 25~29歳 | 30~34歳 | 35~39歳 | 生涯未婚率 |
1970 | 90.1 | 46.5 | 11.7 | 4.7 | 1.7 |
1975 | 88.1 | 48.3 | 14.3 | 6.1 | 2.1 |
1980 | 91.8 | 55.2 | 21.5 | 8.5 | 2.6 |
1985 | 92.5 | 60.6 | 28.2 | 14.2 | 3.9 |
1990 | 93.6 | 65.1 | 32.8 | 19.1 | 5.6 |
1995 | 93.3 | 67.4 | 37.5 | 22.7 | 9 |
2000 | 92.9 | 69.4 | 42.9 | 26.2 | 12.6 |
2005 | 93.5 | 71.4 | 47.1 | 31.2 | 16 |
2010 | 94 | 71.8 | 47.3 | 35.6 | 20.1 |
2015 | 95 | 72.7 | 46.5 | 34.5 | 23.4 |
女性の生涯未婚率の推移
年次 | 20~24歳 | 25~29歳 | 30~34歳 | 35~39歳 | 生涯未婚率 |
1970 | 71.7 | 18.1 | 7.2 | 5.8 | 3.3 |
1975 | 69.3 | 20.9 | 7.7 | 5.3 | 4.3 |
1980 | 77.8 | 24 | 9.1 | 5.5 | 4.5 |
1985 | 81.6 | 30.6 | 10.4 | 6.6 | 4.3 |
1990 | 86 | 40.4 | 13.9 | 7.5 | 4.3 |
1995 | 86.8 | 48.2 | 19.7 | 10.1 | 5.1 |
2000 | 88 | 54 | 26.6 | 13.9 | 5.8 |
2005 | 88.7 | 59.1 | 32 | 18.7 | 7.3 |
2010 | 89.6 | 60.3 | 34.5 | 23.1 | 10.6 |
2015 | 91.4 | 61.3 | 34.6 | 23.9 | 14.1 |
資料:年齢別未婚率については総務省統計局「国勢調査」、生涯未婚率については国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」
(注)1.1970年は沖縄県を含まない。
1985年までの生涯未婚率は、女性が男性を上回っていましたが、
1990年の時点で、女性が4.3%、男性が5.6%となって逆転現象が起きていますね。
その後は、男性が女性を上回ったまま、男性の生涯未婚率が急上昇して大きな差になっています。
他の年齢の未婚率推移は、横ばいか頭落ち気味ですが、生涯未婚率の推移は右肩上がりですね。
生涯未婚率が増加する原因
生涯未婚率が増加した原因のひとつに、1986年に施行された男女雇用機会均等法があるようです。
先程の1985年から1990年にかけての逆転現象はまさにここに原因があるようです。
男女雇用機会均等法によって、男女の採用差別が禁止されたことで賃金格差が縮まり、
「男性に頼らくても生きていける」という自立した女性が増えたためです。
一方、1990年以降、男性の生涯未婚率が急増している原因は、1991年のバブル崩壊後、
不安定な非正規雇用に就く男性が増えて、収入が安定がしにくくなり、
経済的不安から結婚をためらう人が増えたといわれています。
また、国立社会保障・人口問題研究所が2016年9月に貼っ表した出生動向基本調査によると、
「いずれは結婚したい」と考える18~34歳の未婚者の割合は男性85.7%、女性89.3%で高水準です。
けれども、「結婚資金」や「結婚のための住居」の確保が障害と考えている人が多いようで、
やはり、非正規労働者の増加によって経済的不安が障害になっており、未婚率の上昇に影響しているようです。
しかしそれだけではなく、他の原因を指摘する人もあります。
それは、再婚率の上昇です。
再婚率は、1970年から2015年にかけてを見ても、上下はありますが全体に増加傾向であることが読み取れます。
再婚が多くなり、再婚同士で結婚しても、初婚の人が再婚の人と結婚しても、初婚の人の結婚機会に影響するでしょう。
そして、傾向として2015年の再婚件数は男性が女性を1万8千件ほど上回り、初婚の女性と再婚する男性が増えいます。
これは、初婚の男性の結婚相手として初婚の女性が減ることになり、
その割合が高まっていることが男性の未婚率の急増の原因の一つとなっています。
生涯未婚率の推移予測
生涯未婚率の今後はどのように推移していくと予測されているのでしょう?
国立社会保障・人口問題研究所によれば、今後も上昇していくようです。
2025年から2035年にかけて横ばい傾向が見られますが、2035年にはまた上昇していくようです。
2035年においては、なんと50歳の男性の約3人に1人(29.0%)、女性の約5人に1人(19.2%)が未婚ということですから驚きです。
まとめ
このように未婚率がますます増加していくということは、少子化がどんどん進行していくことになります。
高齢者は増える一方ですから、年金や医療などの社会保障の維持は、ますます厳しくなりそうです。
若者の結婚、出産、子育てや非婚化・晩婚化へのアプローチを社会全体で取り組まないと大変なことになっていきそうですね。
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