マイナス金利政策の影響は年金や住宅ローンに及ぶ
2016/03/21
目次
マイナス金利政策の影響は年金や住宅ローンに及ぶ
デフレ経済脱却を目的として、日本銀行がマイナス金利政策の実施を発表して、様々な影響が出ているのは前回の記事、
マイナス金利政策の意味とは?影響やメリット・デメリットをわかりやすく簡単に
で触れさせていただきました。
今回は、私たちに直接影響が大きそうな年金や住宅ローンにどのように影響するのか調べてみました。
国債の利回りと表面利率とは?
私たちに関係の深い年金(年金資金運用)や住宅ローンですが、金利はどのように決められるのでしょう?
それは「長期金利」が指標になっています。(※日本の年金は、日本国債などで運用されています。)
「長期金利」はどのように決められるのか?
「10年物国債の利回り」に影響されているようです。
「利回り」とは「利率」ではありません。
たとえば、額面100万円で利率(表面利率)2%の1年物の国債があったとします。
この国債を100万円で購入すると1年後には額面100万円の2%である2万円と元本100万円を受け取ることになります。
この国債の利回りは2%ということになります。
ところが額面100万円の国債の相場が上がり、101万円で購入したとすると、1年後には額面100万円の2%である2万円と元本100万円を受け取ることになりますが、購入価格が額面より1万円高いので、実質の利益は1万円(2万円-1万円)になります。
1万円(実質の利益)÷101万円(購入価格)=0.9%、この0.9%が利回りです。
逆に額面100万円の国債の相場が下がり、99万円で購入したとすると、実質の利益は3万円(2万円+1万円)になります。
3万円(実質の利益)÷99万円(購入価格)=3.03%、この3.03%が利回というわけです。
ここで、ある法則がみえてきます。
それは
国債の相場が上がる(国債の利回りが下がる)→長期金利が下がる
国債の相場が下がる(国債の利回りが上がる)→長期金利が上がる
国債の相場と長期金利は逆の方向に振れるということです。
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「長期金利」は「10年物国債の利回り」に影響されていいます。
今回、マイナス金利政策が発表されたことによって、銀行などが日本銀行にお金を預けるときに使用する口座「日銀当座預金」の一部がマイナス金利になるため、銀行などがお金を引き出し、国債を購入する動きに流れたため国債の価格が上昇してしまったようです。
したがって、国債の利回りが下がって10年物国債の利回りが過去最低の0%を記録しました。
さらに、世界経済の先行きに対する懸念から比較的安全な資産とされる国債を買う動きが強まり、長期金利はマイナス金利政策が発表される前まで0.2%で推移していましたが、2月9日午前の東京債券市場では国内初の一時0%をつけています。
【追記】
2月9日の国債の市場では10年物国債の利回りは、一時、-0.035%まで下落し、長期金利は、-0.025%で初のマイナスになり取り引きを終えました。
先ほど申し上げたように年金(年金資金運用)や住宅ローンの利率は「長期金利」が指標になっています。
(※日本の年金は、日本国債などで運用されています。)
住宅ローンの金利には固定金利と変動金利があります。
正確に言えば、固定金利は「長期金利」が指標ですが、変動金利は「短期プライムレート」(銀行どうしで資金を融通するときの市中金利)が指標になっているようです。
ただ、「長期金利」が下がるなど低金利の影響で銀行間の貸出競争も激しくなり、おそらく変動金利も下がるでしょう。
ただし、政府や日本銀行の思惑通り、景気がよくなれば日本銀行も金利を上げるこになりますから、金利の高い住宅ローンを借り換えるなら今がチャンスかもしれませんね。
ただし、借り換え手数料や保証料や生命保険料、登記費用など諸費用もかかりますから、総合的な判断が必要になります。
住宅ローンの利率が下がることはうれしいことなのですが、年金資金運用利回りが下がって年金支給額も下がるのはうれしくないですね。
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