日銀のマイナス金利政策の実態とは金融資産課税!?ドイツの財政再建成功に学べ
2017/09/11
目次
日銀のマイナス金利政策の実態とは金融資産課税!?
東洋経済オンラインの記事に気になることが書いてありました。
記事名は『日銀はマイナス金利で「敗戦」を糊塗している 実態は日本の本質的課題からそれた資産課税』というものです。
この記事で書かれていた中で、「日銀がマイナス金利を課すというのは、銀行に対する一種の徴税行為に近い。」「マイナス金利は実態からすれば金融資産課税と同じだ。」ということ。
わかりやすくいうと、マイナス金利が銀行の経営を結果的に圧迫して、赤字に転落することにでもなれば、銀行も存続のために、広く薄く手数料の形で利用者に転嫁せざるを得なくなってくる。
つまり、預金者の預金をマイナスにすれば、預金引き出しなどで取り付け騒ぎにもなりかねないので、様々な手数料をアップするなどして、利用者の負担が増えてくるということでしょう。
マイナス金利(日銀の利益)→銀行収益悪化→銀行が手数料アップなどして収益増を図る→利用者の負担増
このように、われわれの手数料負担が日銀の利益になるわけですから、「マイナス金利は実態からすれば金融資産課税と同じだ。」というわけです。
「実際に欧州の銀行では一部を手数料の形で取っている。」ということですから、私はこの記事を読んであり得ることだなと感じました。
消費が回復しない原因は将来不安
そして、金融政策では所詮、短期的な景気循環を均す効果しかなく、日本は数十年にわたって金融緩和政策を行っているので、時間が経てば経つほど効果が減衰してあまり効果はないと書いています。
「ひとりひとりの生涯にわたっての消費量は決まっていると考えられる。富裕層でもない普通の個人は家を3軒も4軒も買わないし、毎年自動車を買い替えるわけではない。」のにいくら金融緩和や税制優遇を行っても、需要を先食いしてきただけということです。
そして記事の中で、先進国の貯蓄が多いのは「人々が高齢化に不安を感じ、長生きリスクに備えようとしているからだ。」とも書いています。
つまり、「老後のための貯蓄なのだから、いま前倒して使うことはできない。そこに負荷をいくらかけても、消費には向かわない。」と。
さらに「不足している貯蓄にさらに課税される低所得者はいわゆる”下流老人”に転落する、あるいは下流老人予備軍が増えていくことになる。」とも書いてありました。
読んでいて「なるほど」と感じさせられました。
そして記事は続きます。
将来が不安な原因は長生きリスクに備える年金が機能していない。
年金が機能するという信頼感があれば、国民はムダな貯蓄はしない。
年金を有効に機能させるための財政再建ができれば、多少なりとも消費を引き上げる効果があるであろうと。
年配でなくて若い人でも将来不安があれば貯蓄に走りますから確かにそうでしょうね。
ところが、現在の社会保障や年金制度は生産人口の増加を前提に設計されているので、生産人口が減少してきている状況では成り立たなくなってきている。
その修正をするのがもっとも重要なテーマになっている。
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ドイツの財政再建成功に学べ
そして、ドイツが財政収支を均衡させることに成功したように、将来に対する財源が確保できれば現役世代の期待も高まってくるはずとも書いています。
ドイツが財政再建をどのように成功したのか調べてみました。
10%を超えていた失業率のドイツは2009年からの5年間に、毎年の財政赤字を96%も減らすことに成功し、2014年に財政均衡(財政の支出と収入が均衡)を達成しています。
それは、1998年に就任したシュレーダー首相が行った下記の政策が大きく影響したようです。
企業が雇用を増やせるように、社会保険料の負担を減らす
企業は社会保険料の半分を負担している(日本も同じ)。人件費を減らすことで企業の国際競争力を高めな ければ、企業は雇用を増やさない。
失業保険の給付金を生活保護と同じ水準まで減額し、給付の基準を厳しくする
失業保険が手厚すぎると、人々は働く意欲を失う。公的年金や健康保険の自己負担を増やさなくて は、社会保険制度そのものが崩壊する。
失業保険支給期間短縮(2006年~最長32ヶ月→原則12ヶ月、最長18ヶ月 (55歳以上の場合))
支給要件の厳格化(2005年~就労斡旋拒否時に給付を最大3割 カット)
失業扶助と社会扶助を再編・整理し、給付水準を引下げ (2005年~前職賃金の約5割→月額345ユーロ)公的健康保険でも患者が自己負担する制度を導入
自己負担額は所得の2%が上限
公的年金の給付金を削減
2000年・2001年の年金額の上昇幅をインフレ率連動に抑制
2004年の年金引上げの凍結
年金給付水準の段階的引下げ(2010年以降、所得代替 率70%→67%)
失業者等に対する年金早期受給制度の支給開始年齢 を2006年から2008年にかけて60歳から63歳に引き上げ
そして、他の要因もあるでしょうが、基本的に景気や雇用の回復を図り、緊縮財政で、財政健全化を進めた結果のようです。
もちろんドイツの財政赤字(GDP比約70%)と日本の財政赤字(GDP比約250%)では桁が違いますが、学ぶべきところがあるでしょう。
財政赤字がGDP比約70%のドイツでもこれだけの改革をして、やっと財政再建したわけですからGDP比約250%の日本は覚悟が必要かもわかりません。
生産人口が減少してきて高齢化が進行している日本の状況から考えれば、やはり、私たちは少しずつ生活をつつましくしていかなければならない時代に入っていると感じました。
それでも楽しい老後にするためには、老後を見据えて貯蓄や収入源を早いうちから確保することが重要だと改めて思いました。
↓核心をついた記事だと感じましたので、ご紹介させていただきました。
日銀はマイナス金利で「敗戦」を糊塗している 実態は日本の本質的課題からそれた資産課税
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