211万円の壁!年金で住民税が非課税になる根拠は?
2019/04/22
目次
211万円の壁とは?
先日週刊ポストを読んでいたら、『年金から1円も税金を払わない「211万円の壁」の賢い守り方』という記事がありましたので、興味がわき読んでみました。
読んでいくと、211万円の壁とは、65歳以上で年金を受給する場合、扶養家族が妻1人の場合、年金収入が211万円以下(月額17万6000円以下)ならば住民税が非課税となり、それを超えると課税されるラインを言っています。
サラリーマンOBの人の年金収入は「211万円の壁」あたりが多いということで、週刊ポストがとりあげたようです。
でも、この住民税非課税の211万円の根拠がわからなかったので調べてみました。
住民税が非課税になる人
まず、住民税が非課税になる人は以下の人です。
- 生活保護を受けている
- 未成年者、障がい者、寡婦、寡夫で前年の合計所得金額が125万円以下(このため所得が給与所得のみの方は、給与収入が204万4000円未満)
- 前年の合計所得金額が各地方自治体の定める額以下
今回の「211万円の壁」というのは、3.のことを指しています。
住民税の非課税限度額
住民税には、所得に応じて課税される所得割と、地域によって定額負担の均等割がありますが、両方とも徴収されます。
下の表は所得割・均等割の住民税非課税限度額を家族構成による違いを表にしたものです。
住民税非課税限度額 | 控除対象配偶者や扶養親族がある場合 | 控除対象配偶者や扶養親族がいない場合 (単身者) | |
所得割 | 35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+32万円以下 | 35万円以下 | |
均等割 | 1級地 | 35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+21万円以下 | 35万円以下 |
2級地 | 32万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+18.9万円以下 | 32万円以下 | |
3級地 | 28万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+16.8万円以下 | 28万円以下 |
所得割と均等割を比較してみると、
所得割:35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+32万円以下
均等割:35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+21万円以下(1級地)
となり、控除額が均等割のほうが21万円と少ないため、均等割で非課税なら所得割も非課税になるということです。(自治体の場所が東京都など1級地の場合です)
扶養家族が妻1人の場合、
35万円×2人(本人+配偶者)+21万円=91万円(住民税非課税限度額)
所得91万円が住民税非課税限度額ということになります。
住民税の計算
住民税は所得金額がいくらかで計算するんですが、この所得金額というのは年金の収入金額から所得控除をマイナスしたものです。
年金受給者の場合、給与所得者よりも多めに所得控除されます。(下表参照)
年金を受け取る人の年齢 | (a)公的年金等の収入金額の合計額 | (b)割合 | (c)控除額 |
65歳未満 | (公的年金等の収入金額の合計額が700,000円までの場合は所得金額はゼロとなります。) | ||
700,001円から1,299,999円まで | 100% | 700,000円 | |
1,300,000円から4,099,999円まで | 75% | 375,000円 | |
4,100,000円から7,699,999円まで | 85% | 785,000円 | |
7,700,000円以上 | 95% | 1,555,000円 | |
65歳以上 | (公的年金等の収入金額の合計額が1,200,000円までの場合は、所得金額はゼロとなります。) | ||
1,200,001円から3,299,999円まで | 100% | 1,200,000円 | |
3,300,000円から4,099,999円まで | 75% | 375,000円 | |
4,100,000円から7,699,999円まで | 85% | 785,000円 | |
7,700,000円以上 | 95% | 1,555,000円 |
65歳以上の人は年金収入211万円の場合120万円所得控除されますから
211万円(収入金額)-120万円(控除額)=91万円(所得金額)
住民税は所得金額がいくらかで計算しますから、91万円以内であれば、住民税が非課税になります。
これが、211万円の壁の根拠です。
住民税が非課税になるメリット
住民税が非課税になると、どんないいことがあるのか?メリットをまとめてみますね。
国民健康保険料の減額
所得に応じて国民健康保険料が半分から70%も免除されます。
高額医療費の負担が軽減
個人負担上限額が一般世帯で8万円のところ、高額医療費において35,400円まで負担が軽減されます。
その他
地方公共団体によってですが、
- 保育料の減額
- 定期健康診断や予防接種・がん検診の費用の割引
- 入院中にかかる食事の自己負担額の減額
- 介護保険サービス料の割引
- 保育料の減額
などがあります。
所得税は?
ただし、住民税は非課税になりますが、所得税はかかります。
211万円-120万円(控除額)=91万円
91万円-38万円(基礎控除)=53万円
53万円に5.015%の所得税が源泉徴収されます。
まとめ
その記事では、国民健康保険料や介護保険などの社会保険が大きく違うのでメリットが大きいと書いて、211万円のAさんと、212万円のBさんでは、手取りで10万円近くも違うことが例として示してありました。
もし、211万円を超えそうでしたら、年金の繰り上げ受給を利用して、年金額を減らすというアイデアも書いてあり、なるほどと思いました。
しかし、夫婦2人で211万円以下(月額17万6000円以下)で暮らすのは、結構寂しい生活になる感じがします。
やはり、老後も働いていたほうが、楽しい生活ができるかもしれませんね。
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