65歳が年金と仕事を考える分岐点?定年後の再雇用年収も調べてみた
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定年退職が近づいてくると何歳まで働いて、何歳から年金をもらうのか?
そんなことが気になりだしますよね。
近頃は平均寿命の延びによって「人生100年時代」とも言われています。
このブログでも書いてきましたが、長寿リスクを少しでも少なくするには、できるだけ長く働くことです。
今では高年齢者雇用安定法の「高年齢者雇用確保措置」によって働く環境も徐々に整いつつあります。
そんな背景から考えると、もはや60歳で仕事をやめてリタイアするという考えは、古いのかもしれません。
そんなことから、60歳を過ぎてからの仕事や年金について考えてみました。
60歳を過ぎても継続雇用の会社が多くなってきた
定年退職というと、60歳でリタイアするイメージでしたが、高年齢者雇用安定法の「高年齢者雇用確保措置」によって、継続雇用制度や、定年の延長など、60歳を過ぎても継続雇用などで働くというのが当たり前という時代になってきました。
実際に、東京都が平成24年に都内の3,000事業所(常用従業者規模30人以上)について行った調査によると、高年齢者雇用確保措置を実施している事業所は 93.5%、そのうち継続雇用制度を導入している企業は86.1%です。
出典:http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2013/03/DATA/60n3s700.pdf
Sponsored Link定年に達した人のうち、継続雇用をした人は 65.8%、継続雇用を希望しなかった人は 26.8%で、7割近くの人が継続雇用されています。
出典:http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2013/03/DATA/60n3s700.pdf
多くの人が、60歳で定年退職し、その後64歳まで継続雇用などで働いて、65歳からはリタイアして公的年金で生活するか、働き続けるか分岐点に立たされるというわけですね。
65歳以上で仕事をしている人はどれくらいいるの?
高齢者の就業状況は、総務省統計局の「労働力調査2018年4月速報」によれば、男性の場合、55~59歳で91.0%、60~64歳で79.1%、65~69歳で54.8%、70歳以上で20.9%の人が働いており、60歳を過ぎても、多くの人が働き、65歳以上でも31.8%が働いています。(女性の場合は、55~59歳で70.5%、60~64歳で53.6%、65~69歳で34.4%、70歳以上で10.0%、65歳以上で16.3%)
また、男女合わせた全体では、60~64歳で66.2%の人が働いていますから、先程の東京都の継続雇用者65.8%と近似値になっていますね。
年齢階級 | 全体(%) | 男(%) | 女(%) |
50~54歳 | 84.5 | 92.6 | 76.4 |
55~59歳 | 81.0 | 91.0 | 70.5 |
60~64歳 | 66.2 | 79.1 | 53.6 |
65~69歳 | 44.3 | 54.8 | 34.4 |
70歳以上 | 14.5 | 20.9 | 10.0 |
65歳以上 | 23.0 | 31.8 | 16.3 |
男性の場合、約8割が60歳で定年後も継続雇用で働き、65歳を過ぎると約半分の人が働き、70歳上になっても約2割で5人に1人が働いていることになります。
女性の場合、約半分の人が60歳を過ぎても働き、65歳を過ぎると約3割で3人に1人、70歳上で10人に1人が働いています。(女性の場合は出産などがあるため、60歳定年まで働く人は男性と比べて少ないでしょう)
定年後再雇用の賃金相場
定年退職後再就職した場合の収入がいくらになるのかについても調べてみました。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が平成27年4月17日に発表した「高齢者雇用の現状と人事管理の展望」という60歳以上(60~64歳 82.7%、65~69歳 15.4% 、70歳以上 1.9%)の継続雇用で働いている人(従業員規模31 人以上の企業)を対象に調査しました。
調査結果によりますと、50歳代現役の最高年収は800万円以上が52.7%(内1000 万円以上が 30.3%)であったのに対して、定年退職後再就職した場合の年収は200~400万円未満が45.1%と多数を占めています。
年収階層 | 現在の勤務する会社からの年収 | 50歳代の最高年収 |
100万円未満 | 0.3% | 0.0% |
100~200万円未満 | 5.6% | 0.1% |
200~300万円未満 | 22.2% | 1.1% |
300~400万円未満 | 22.9% | 2.7% |
400~500万円未満 | 13.4% | 5.6% |
500~600万円未満 | 7.5% | 8.4% |
600~700万円未満 | 6.1% | 8.4% |
700~800万円未満 | 3.0% | 12.8% |
800~900万円未満 | 3.4% | 11.4% |
900~1000万円未満 | 1.6% | 11.0% |
1000万円以上 | 4.6% | 30.3% |
つまり、定年退職後再就職した場合の年収は、50歳代現役の年収よりも半分以下になる人が多くいるということになります。
それでも、年金よりはもらえそうですね。
65歳以上の仕事と年金の関係
65歳以上になると、誰もが年金を受給できるようになりますが、仕事をする場合、気をつけなければいけないのは在職老齢年金という制度です。
在職老齢年金は年金を受給している人が働いて収入を得ていることによって、老齢厚生年金と給与の月額合計がある一定額を超えた場合、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止されます。
60歳から64歳では、老齢厚生年金と給与の月額合計が28万円、65歳以上では46万円を超えると年金カットになります。
詳しくは在職老齢年金の関連記事を御覧ください。
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年金減額!給与収入合計が60歳からの28万円、65歳以上47万円の壁と働き方
まとめ
これまでのことをまとめると、定年退職後ほとんどの人が再雇用で65歳まで働きます。
その場合、老齢厚生年金の在職老齢年金に注意したほうがいいですが、65歳前に厚生年金を受給できる人は、今年4月1日現在で、男性で63歳以上、女性の58歳以上の人になります。
ですから、それより年齢が下の人は在職老齢年金が影響してくるのは、65歳を過ぎても働く場合です。
つまり、50代の多くの人が65歳が年金と仕事を考える分岐点になるのではないでしょうか。
これはひとつの考えですが、65歳を過ぎても働くなら、働いている間は収入があるわけですから、年金支給を遅らせておけば、在職老齢年金を気にしなくていいのではないでしょうか。
年金受給を繰り下げることによって、将来受給できる年金額も増えるわけですからね。
年金は何歳からもらうとお得か?繰り上げ・繰り下げ受給の分岐点早見表を作ってみた!
ただ、年金を受給する前や受給してすぐに亡くなってしまうと損することになりますけどね。
こればかりは、自分の寿命がわからないのですから、どうしようもありません。