所得控除の節税額の計算方法!iDeCoや少規模企業共済の節税の仕組みとは?
2018/03/20
目次
iDeCo(確定拠出年金)・国民年金基金・付加年金・小規模企業共済を利用すれば、掛け金が全額控除扱いになるので結構節税できます。
老後資金をつくるために、ヘタな定期預金の利息より、節税の金額が大きいからおすすめであることを以前に記事にも書きました。
これはiDeCo(確定拠出年金)・国民年金基金・付加年金・小規模企業共済に加入することによって、掛け金の全額を所得控除できるためです。
所得控除ができると、所得税、復興特別所得税、住民税が節税できます。
では、いったい実際にどれくらいの節税ができるのか?例を上げて計算してみました。
まずは、税金の計算法から説明していきますね。
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所得税控除の計算法
収入金額(税込み年収)-必要経費(給与所得控除額等)=所得金額
所得金額-所得控除合計額=課税所得
所得控除には下記のようなものがあります。
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄附金控除
- 障害者控除
- 寡婦(寡夫)控除
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
iDeCo(確定拠出年金)・国民年金基金・付加年金・小規模企業共済を積み立てることによって、社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除に該当しますので、課税所得を減額できます。
そして、課税所得に対して税率を掛けて所得税額を計算します。
課税所得×税率=所得税額
所得税は所得が高い人ほど税率が高くなる超過累進課税です。
課税所得が195万円以下の部分は税率5%、195万円超330万円以下の部分は税率10%、330万円超695万円以下の部分は20%というように、低い所得から税率が上がっていき、部分部分で段階的に計算していきます。
たとえば、課税所得が720万円のときの所得税額の計算は下記のとおりです。
195万円×5%=97,500円
(330万円-195万円)×10%=135,000円
(695万円-330万円)×20%=730,000円
(720万円-695万円)×23%=57,500円
合計=97,500円+135,000円+730,000円+57,500円=1,020,000円(所得税額)
下の速算表で計算すると簡単に計算できます。
課税所得 | 所得税率 | 課税控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
720万円×23%-636,000円=1,020,000円(所得税額)
というように1,020,000円で一致します。
復興特別所得税の計算法
復興特別所得税は計算した所得税額に税率2.1%で計算します。
復興特別所得税=所得税額 × 税率2.1%
先程のように課税所得720万円の場合、所得税額は1,020,000円でしたから
1,020,000円x2.1%=21,420円
復興特別所得税は21,420円ということになります。
住民税の計算法
住民税には都道府県税4%と市区町村税6%がありますので、一律で両方合わせて税率10%計算します。
住民税税率 | |
都道府県税 | 市区町村税 |
4% | 6% |
課税所得720万円の場合、720,000円ということになります。
Sponsored Link所得控除の節税額の計算方法
それでは、iDeCo・国民年金基金・付加年金・小規模企業共済などに加入して、所得控除ができる場合、どれくらいの節税ができるのか例を上げて計算してみます。
課税所得695万円の人が月額合計138,000円(年間1,656,000円)の掛け金を払っていた場合
所得税
所得控除前
6,950,000円x20%-427,500円=962,500円
所得控除後
6,950,000円-1,656,000円=5,294,000円
5,294,000円x20%-427,500円=631,300円
節税額
所得税節税額=962,500円-631,300円=331,200円
復興特別所得税
復興特別所得税(所得税額 × 税率2.1%)
所得控除前
962,500円x2.1%=20,212円
所得控除後
631,300円x2.1%=13,257円
復興特別所得税節税額=20,212円-13,257円=6,955円
住民税
所得控除前
6,950,000円x10%=695,000円
所得控除後
5,294,000円x10%=529,400円
節税額
住民税節税額=695,000円-529,400円=165,600円
※調整控除額(所得税と住民税の配偶者控除、扶養控除、基礎控除の差額計算)は考慮していませんので実際の住民税額とは多少(数千円)の差異があります。
合計節税額
合計節税額=331,200円(所得税)+6,955円(復興特別所得税)+165,600円(住民税)=503,755円
課税所得720万円の人が月額合計68,000円(年間816,000円)の掛け金を払っていた場合
所得税
所得控除前
7,200,000円x23%-636,000円=1,020,000円
所得控除後
7,200,000円-816,000円=6,384,000円
6,384,000円x20%-427,500円=849,300円
※この場合、所得控除の効果で所得税率も下がります。
節税額
所得税節税額=1,020,000円-849,300円=170,700円
復興特別所得税
復興特別所得税(所得税額 × 税率2.1%)
所得控除前
1,020,000円x2.1%=21,420円
所得控除後
849,300円x2.1%=17,835円
節税額
復興特別所得税節税額=21,420円-17,835円=3,585円
住民税
所得控除前
7,200,000円x10%=720,000円
所得控除後
6,384,000円x10%=638,400円
節税額
住民税節税額=720,000円-638,400円=81,600円
※調整控除額(所得税と住民税の配偶者控除、扶養控除、基礎控除の差額計算)は考慮していませんので実際の住民税額とは多少(数千円)の差異があります。
合計節税額
合計節税額=170,700円(所得税)+3,585円(復興特別所得税)+81,600円(住民税)=255,885円
やはり、節税効果が高いですね。
ちなみに、課税所得720万円の人が、月額合計138,000円(年間1,656,000円)の掛け金を払っていた場合の節税額を同じように計算してみました。
所得税節税額=338,700円
復興特別所得税節税額=7,112円
住民税節税額=165,600円
合計節税額=338,700円(所得税)+7,112円(復興特別所得税)+165,600円(住民税)=511,412円
やはり、すごい節税になりますね。
ただ、月に138,000円も貯蓄する余裕がある人は、そう多くはないでしょうけどね。
所得税計算の速算表の控除額の根拠
ちなみに蛇足かもわかりませんが、速算表の課税控除額はどうやって算出されているのか、興味があったので調べてみました。笑
速算表の課税控除額の根拠は以下のようになっています。
出典:http://self.blog.so-net.ne.jp/2014-06-19
所得税の計算は上図の例ですと、課税所得xは330万円を超え695万円以下で税率20%です。
所得税額は上図のA+B+Cを計算するんですが、課税所得xに一律税率20%を掛けて、Fの部分を引いて計算する考え方です。
実際に計算式にしてみます。
まず、課税所得の範囲を段階別にすると下記のようになります。
195万円
(330万円-195万円)=135万円
(695万円-330万円)=365万円
(1,800万円-900万円)=900万円
(4,000万円-1,800万円)=2,200万円
そして、各課税所得の範囲ごとにFの部分を計算します。
課税所得が195万円を超え330万円以下の場合
195万円×(10%-5%)=97,500円
課税所得が330万円を超え695万円以下の場合
195万円×(20%-5%)=292,500円
135万円×(20%-10%)=135,000円
292,500円+135,000円=427,500円
課税所得が695万円を超え900万円以下の場合
195万円×(23%-5%)=351,000円
135万円×(23%-10%)=175,500円
365万円×(23%-20%)=109,500円
351,000円+175,500円+109,500円=636,000円
課税所得が900万円を超え1,800万円以下の場合
195万円×(33%-5%)=546,000円
135万円×(33%-10%)=310,500円
365万円×(33%-20%)=474,500円
205万円×(33%-23%)=205,000円
546,000円+310,500円+474,500円+205,000円=1,536,000円
課税所得が1,800万円を超え4,000万円以下の場合
195万円×(40%-5%)=682,500円
135万円×(40%-10%)=405,000円
365万円×(40%-20%)=730,000円
205万円×(40%-23%)=348,500円
900万円×(40%-33%)=630,000円
682,500円+405,000円+730,000円+348,500円+630,000円=2,796,000円
課税所得が4000万円超の場合
195万円×(45%-5%)=780,000円
135万円×(45%-10%)=472,500円
365万円×(45%-20%)=912,500円
205万円×(45%-23%)=451,000円
900万円×(45%-33%)=1,080,000円
2,200万円×(45%-40%)=1,100,000円
780,000円+472,500円+912,500円+451,000円+1,080,000円+1,100,000円=4,796,000円
ちょっとわかりにくいかもしれませんね。
私も理解するまでに大変苦労しました。
興味のある方は考えてみてくださいね。
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