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老人ホームの倒産件数が急増している!?理由は?入居一時金は?

      2017/10/19

目次

老人ホームの倒産件数が急増している!?

今朝フジテレビの「情報プレゼンター とくダネ!」を視ていたら、「全国で…介護施設の“現実”」として介護施設の倒産が相次いでいることを取り上げていました。

50代アラフィフ世代にとっては、親が入居していたり自分が入居するかもしれないので、他人事ではありませんよね。

実際に調べてみると、東京商工リサーチの資料がありました。

それによると、2016年「老人福祉・介護事業」の倒産件数は、過去最多の108件で、2015年の78件に比べると前年比42%も増えているとのこと。

「老人福祉・介護事業」の倒産件数推移

「老人福祉・介護事業」の倒産件数推移

出典:http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20170111_01.html

負債総額では負債5千万円未満が79件(前年比58.0%増、前年50件、構成比73.1%)と大幅に増え、小規模事業者の倒産が多発しているようです。

業種別では、「訪問介護事業」が最多の48件(前年比65.5%増、前年29件)で、施設系のデイサービスを含む「通所・短期入所介護事業」が38件(同31.0%増、同29件)、「有料老人ホーム」が11件(同120.0%増、同5件)とのこと。

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老人ホームの倒産理由は?

ちなみに、介護施設の倒産理由として考えられるのは、競走の激化、介護報酬の引き下げ、人材確保の人件費高騰などで業績が悪化したことが大きく響いたようです。

  1. 競走の激化
    同業他社との競争激化から経営力が劣る業者の淘汰が進んだ
  2. 介護報酬の引き下げ
    介護報酬の実質マイナス改定による収益への影響
  3. 人材確保の人件費高騰
    介護職員不足の中で離職を防ぐための人件費が上昇

特に人材不足は、国内景気が悪い時は採用は順調ですが、好況になると人材が他業種へ流出し採用が困難な状況になるようです。

小規模事業者の倒産が多発していたのは、競走の激化による業績停滞に加え、資金的な問題が大きく響いたようです。

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老人ホームが倒産したら

訪問介護やデイサービスなら倒産したら違う業者に依頼すればよさそうですが、問題は有料老人ホームが倒産した場合でしょう。

とくダネ!の番組中で北海道旭川市の母・子が、88歳の母が入居する有料老人ホームから先月、倒産による施設の閉鎖が告げられ、退去の期日をわずか3週間という現実を突きつけられていました。

高齢者にとって、突然の環境の変化は大きな負担になって問題です。

しかし、問題はそれだけではなく、父親が入居する介護施設が倒産したという兄弟は、入居一時金を500万円支払いました。

ところが、介護施設が倒産したことによって、入居一時金のうち360万円が戻ってこなくなったそうです。

老人ホームに入居するため、500万円という大金を捻出するには、中には自宅を売却して資金を作ったという人もいるでしょうから、これは大問題ですね。

ここで、入居一時金とはどういうものなのか、なぜ戻ってこなかったかについて触れておきます。

入居一時金とは?保全措置は?

老人ホームの費用には入居時に支払う入居一時金と毎月支払う月額利用料があります。

入居一時金とは、老人ホームの入居時に、家賃の前払いの意味合いで支払います。

入居一時金は、一定の期間にわたって償却されていきますので、入居者の死亡時や中途退去時に実際に入居していた年月の分を差し引いて、残りの分が返還される性質のものです。

入居していた施設が倒産してしまった場合も返還されることになりますが、実際は返還されないケースも多く見られたため、改正老人福祉法によって、平成18年4月1日(2006年)以降に届け出た有料老人ホームから入居一時金の保全措置が義務づけられるよになりました。

入居一時金の保全方法については、同じく老人福祉法の中で、「前払金の保全方法」として下記のように謳われています。

① 銀行等との連帯保証委託契約
② 指定格付機関による特定格付が付与された親会社との連帯保証委託契約
③ 保険事業者との保証保険契約
④ 信託会社等(信託会社及び信託業務を行う金融機関)との信託契約
⑤ 高齢者の福祉の増進に寄与することを目的として設立された一般社団法人又は一般財団法人との間の保全のための契約で前記①から④に準ずるものとして都道府県知事が認めるもの(例えば、社団法人全国 有料老人ホーム協会の入居者基金制度が該当)

 

たとえば、公益社団法人 全国有料老人ホーム協会に加盟している有料老人ホームの場合は、入居者基金が設けられ、仮に有料老人ホームの倒産などの理由によって返却不能となった場合であっても、この全国有料老人ホーム協会から返金されるしくみになっています。

ところが、先程の入居一時金のうち360万円が返却されなかったケースでは、倒産した介護施設側が保全措置に必要な保証金20万円を協会に納めていなかったことが原因となっていたようです。

確かに倒産しそうであれば、保証金20万円を収める余裕すらなかったかもわかりません。

老人ホームの種類と費用

入居一時金の必要なのはどんな種類の老人ホームなのか?

老人ホームには民間運営と公的施設がありますが、民間運営の場合は、ほとんどの施設で入居一時金が必要のようです。

公的施設の場合は、ケアハウス以外は入居一時金は必要なさそうですね。

老人ホームの種類入居一時金・保証金月額利用料
民間
運営
有料老人ホーム介護付有料老人ホーム0~1億円以上12~40万円
住宅型有料老人ホーム0~1億円12~40万円
健康型有料老人ホーム0~数千万円以上12~40万円
その他の
施設
サービス付き高齢者向け住宅敷金として家賃の2~3ヵ月5~25万円
グループホーム10~100万円12~30万円
公的
施設
介護保険施設特別養護老人ホーム0円7~15万円
介護老人保健施設0円8~17万円
介護療養型医療施設0円8~17万円
福祉施設ケアハウス0~数百万円8~20万円
養護老人ホーム0円高くても10万円くらい

危ない老人ホームのチェックポイント

最後に危ない老人ホームの見分け方をまとめました。

参考にしてくださいね。

運営母体はどこか

2005年から2014年の間に休廃業・解散した老人福祉事業者の、およそ4割が株式会社で、もっとも大きな割合を占め、医療法人・医療法人社団は0・9%、社団法人・一般社団法人で1・9%、財団法人が2・1%、社会福祉法人で2・6%である。

経営母体が建設会社や葬儀会社、飲食店など、介護が分かっていない素人集団の場合は注意が必要。

職員の定着率

職員の定着率、なかでも有資格の責任者である介護支援専門員(ケアマネジャー)の勤続年数が短くないかを見ます。ケアマネジャーが長く働いていないということは、低賃金で、さらに無昇給、有給を取得できないなど、職場環境が芳しくない証拠なので、経営が悪化している可能性を疑いましょう。

入居率

開設から1年以上経つのに、入居率が50%に満たない場合は要注意。

退去条件

「退去するか否かは、利用者の介護度に応じて、協議の上決める」といった記載がある場合には注意が必要。

これでは、認知症で徘徊が始まったり、病気が重篤になるなどした場合、施設側に一方的に退去を求められる可能性もある。

入居一時金の保全措置

2006年4月以降に開設の届け出をした業者は、入居一時金の保全措置が義務付けられていますが、義務化以前に届け出をした事業者では、保全措置を取っていないケースも考えられるので、要注意。

 

「終の棲家」として入居する老人ホームに、入居した後倒産の憂き目に会わないように、充分なチェックが必要ですね。

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