年金未納差し押さえって! 払わないとどうなる?
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年金未納差し押さえって!
あなたは年金をちゃんと払っていますよね。
しかし、何かの事情で年金を未払いでそのままにしておくと、最終的には財産差し押さえの憂き目に合うケースがあることをご存じですか?
あまり知られていませんが、2015年度の国民年金の未納による財産差し押さえの件数は7,310件もあったそうです。
今回は年金を払わないでいるとどうなるかについて調べてみました。
年金未納率
年金には国民年金と厚生年金の2種類あることはご存じの方も多いでしょう。
会社員の人が加入する厚生年金は、給料から天引きされたものを会社が払いますから年金が未納になることはまずありません。
公的年金加入者数は、平成26年度末現在で6,713万人で、国民年金の第1号被保険者数1,742万人、厚生年金保険及び共済組合の加入者数(第2号被保険者数)は4,039万人、第3号被保険者数はで932万人です。
国民年金保険は、原則日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入し払うことになっていますが、公的年金加入者の6割が第2号被保険者で、国民年金分は基礎年金として天引きされています。
Sponsored Link第1号 被保険者 (任意加入含む) | 1,742万人 | |
第1号被保険者(20歳以上60歳未満の自営業者・学生・フリーター・無職の人とその配偶者) | 1,718万人 | |
全額免除者 | 602万人 | |
法定免除者 | 134万人 | |
申請全額免除者 | 245万人 | |
学生納付特例者 | 178万人 | |
若年者納付猶予者 | 44万人 | |
一部免除者 | 61万人 | |
申請3/4免除者 | 31万人 | |
申請半額免除者 | 20万人 | |
申請1/4免除者 | 10万人 | |
任意加被保険者 | 24万人 | |
第2号被保険者等(厚生年金や共済年金や船員保険に加入している65歳未満の人) | 4,039万人 | |
厚生年金保険 | 3,599万人 | |
第3号被保険者(第2号被保険者に扶養されている配偶者で20歳以上60歳未満の人) | 932万人 |
年金が未納になるというと、会社員や公務員などのように企業に勤めていない人、たとえば自営業者など(第1号被保険者)が国民年金を納付している場合になるわけです。
厚生労働省の発表によると、2015年度の国民年金保険料の納付率は63.4%だそうです。
ただし、低所得などで保険料を免除・猶予されている未納者は納付率の計算から除外されているため、それらを含めた被保険者全体で実際に納付された割合は40.7%ということです。
つまり国民年金の未納率は第1号被保険者全体では約6割になるということですね。
これはすごい数字ですね。
年齢層別にはどうなっているのか?
資料がちょっと古いのですが、自民党衆院議員の河野太郎氏が2014年に厚生労働省に働きかけて調べた資料がありました。
年齢 | 2011年 | 2012年 | 2013年 |
20~24 | 22.0% | 21.0% | 21.4% |
25~29 | 32.1% | 31.2% | 31.7% |
30~34 | 38.6% | 37.7% | 38.2% |
35~39 | 42.2% | 41.7% | 42.1% |
40~44 | 42.4% | 42.3% | 43.0% |
45~49 | 43.9% | 42.9% | 42.9% |
50~54 | 48.5% | 47.6% | 47.5% |
55~59 | 54.2% | 53.6% | 53.7% |
全体 | 40.8% | 39.9% | 40.2% |
この資料によると、20代前半の人が2割台と最も低く、50代後半の人が5割代と最も多く、年齢が高くなるに連れて納付率が上がる傾向になっています。
これは学生納付特例や若年者納付猶予制度をはじめ、さまざまな保険料を支払わなくてもよい制度があるためです。
しかし、30代や40代の人の納付率も4割台と高くはありませんから、将来もらえないから納めても損するだけという気持ちが働いているのかもわかりません。
年金を払わないとどうなる?
年金を払わないとどうなるのか?
毎月発生する国民年金保険料を翌月末までに払わないと未納状態になります。
未納状態になると「催告状」が送られてきます。
そのままにしていると、督促の電話(民間業者に委託)がかかってくることもあるようです。
それでも何もしないでおくと今度は「最終催告状」が送られてきます。
最終催告状の納付期限に年金保険料を納付しないと「督促状」が送付されます。
督促状の納付期限に年金保険料を納付しないと延滞金14.6%が課せられることになり、財産差し押さえのための財産調査が開始され、財産差し押さえへと向かうことになります。
- 催告状を郵送(納期限の翌月から年6回)、電話や戸別訪問を行う
- 特別催告状を郵送
- 最終勧告状を郵送
- 督促状(法的通知)を郵送
- 滞納処分を開始(督促状の期限までに納付しないと延滞金14.6%)、電話や戸別訪問により納付を促す
- 財産調査を開始
- 財産差し押さえ予告通知を郵送
- 財産差し押さえ実施
年金未納差し押さえ基準
年金を未納で差し押さえになる基準はどんなものでしょう?
それは、直近24カ月の間に13カ月以上未納があり、所得が400万円以上ということのようです。
所得とは給与や事業の収入から所得控除や経費を引いた後の所得で、本人だけではなく、世帯主や配偶者の収入も含みます。
対象者は、本人のほか、配偶者、連帯納付義務のある世帯主などで、預貯金や車などの動産、家、土地などの不動産などが対象です。
年金未納で差し押さえを回避するには?
催告状が届いて特別催告状→最終勧告状までの段階なら、さかのぼって未納分を納付すれば、利息何もかかりません。
しかし、督促状が届いて納付期限に年金保険料を納付しないと延滞金14.6%がかかってきますから、最終勧告状までにはなんとかしたいところですね。
しかし、督促状が届いても「財産差し押さえ予告通知」が郵送される前の段階で、少しでも未納分を収めたり、年金事務所に相談するなり、納付する意思を示せば、財産差し押さえを少しは待ってくれるようです。
年金事務所に相談すれば、未納分を分割して納付することもできるそうですので、放おっておかずに意思を示しましょう。
↓どうしても苦しい場合は国民年金免除・納付猶予制度もあるようですので、検討してみましょう。
国民年金滞納で差し押さえされた人の数
平成26年度、実際に国民年金滞納で、最終催告状→督促状→財産差し押えとなった件数は下記のとおりです。
最終催告状 | 84,801件 |
督促状 | 43,757件 |
財産差し押え | 7,310件 |
しかし、消えた年金問題や年金資金運用悪化など、責任ははっきりせずに、すべて国民にツケが回ってくるワリには取り立ては厳しい気がしますね。
現代になっても年貢の取り立てが厳しいいのは変わりがなく、水戸黄門や暴れん坊将軍がいないだけかもしれませんね。