GPIF損失株価暴落で17兆円!コロナショックで年金は大丈夫?
2021/03/31
目次
GPIFコロナショックで株価暴落で損失17兆円!
新型コロナウイルスの影響で、国内外の株式市場ば暴落しました。
公的年金の積立金の運用をしている、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の2020年1~3月の運用実績は、四半期として最大の17兆円を超える赤字になるとの試算を厚生労働省がまとめたそうです。
そんなに損失を出して、我々の年金は大丈夫なのか?
少し心配になったので調べてみました。
GPIFのポートフォリオ推移
運用資産 | 2006年4月1日 | 2013年6月7日 | 2014年10月31日 | 2020年3月31日 | |
国内 | 債券 | 67% | 60% | 35% | 25% |
株式 | 11% | 12% | 25% | 25% | |
外国 | 債券 | 8% | 11% | 15% | 25% |
株式 | 9% | 12% | 25% | 25% | |
短期資産 | 5% | 5% | 0% | 0% |
そこへやってきたのが今回の新型コロナウイルスショックによる株価暴落です。
- そんなに損失を出して、私達の公的年金は大丈夫なのか?
- コロナショックで17兆円を超える赤字が私達の年金に与える影響がどれくらいなのか?
心配になりますよね。
- それを掴むために、GPIFの今までの運用成績はどうだったのか?
- GPIFが運用しているという、年金積立金とはどんなものなのか?
- 年金に与える影響はどれくらいなのか?
それらを調べてみました。
Sponsored LinkGPIFの運用成績は?
今回の株価暴落によって17兆円の赤字を出したことによって、今までの積立金が赤字になってしまったのか?
心配になりますよね。
下の図はGPIFの年金積立金の運用成績ですが、2019年度第3四半期(10月から12月)時点で年率3.23%で運用されていて、累積75.2兆円の収益ということです。
決してマイナスではなく、まずまずの成績ですね。
出典:https://www.gpif.go.jp/operation/pdf/2019-Q3-0207-Jp_035988.pdf
ただ、今回の損失が17兆円ということですから、75.2兆円の約22%を失ったということになりますから、ちょっと痛いですね。
じゃぁ私達の年金にどの程度影響があるのか?
年金積立金とは?
そもそも公的年金は現役世代が納める保険料で、その時々の高齢者世代に年金を給付するという賦課方式を採用しています。
そして、 現役世代が納めた年金保険料のうち、年金の支払いなどに充てられなかったものが、将来世代のために積み立てられているものが、年金積立金ということになります。
出典:https://www.gpif.go.jp/gpif/pension-finance.html
年金積立金の額
GPIFの運用している年金積立金の額はどれくらいなのか?
下記のとおり、ポートフォリオによって運用されていますが、年金積立金は2019年12月末の時点で、約170兆円貯まっていることになります。
第3四半期末 (2019年12月末) (年金積立金全体) | |||
資産額(億円) | 構成割合 | ||
国内債券 | 422,179 | 24.87% | |
国内株式 | 423,781 | 24.97% | |
外国債券 | 為替ヘッジなし | 307,144 | 18.10% |
為替ヘッジ付き | 18,774 | 1.11% | |
外国株式 | 468,110 | 27.58% | |
短期資産 | 57,334 | 3.38% | |
合計 | 1,697,320 | 100.00% |
ですから17兆円の損失とは、年金積立金全体からいえば10%程度だということです。
まずまずの損失ですから心配ですね。
じゃぁ私達の年金にはどの程度影響しそうでしょうか?
年金給付における年金積立金の割合
毎年度、公的年金の給付は、① 保険料収入、② 国庫負担、③ 年金積立金の3つの財源により賄われていますが、年金積立金はどれくらいの割合なのでしょう?
下の図は厚生労働省が発表した「2019(令和元)年財政検証」の資料からの引用ですが、公的年金の給付と財源の内訳を表しています。
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/000540204.pdf
年金給付の財源の100年間の平均は、その年の保険料収入と国庫負担で90%程度がまかなわれており、積立金からは10%程度ということです。
まとめ
以上のことをまとめてみると
GPIFが2020年1~3月の運用で出した損失は17兆円超える。
その17兆円は2019年度第3四半期(10月から12月)時点までの累積収益額75.2兆円の22%程度、積立金全体の約170兆円の10%に当たる。
給付される公的年金で年金積立金の占める割合はおおよそ10%くらい。
これらのことで感じるのは、年金がなくなるのではないか?という心配はしなくて良いようだということです。
ただし、損失を取り戻せないなどGPIFの運用成績が芳しくない場合は、年金受給年齢の延長など心配されますね。