年金支給額引き下げ0.1%!改定ルールとは?消費者物価指数下落かGPIFの運用損失の影響!?
2017/01/29
目次
2017年4月分から年金支給額引き下げ0.1%!消費者物価指数下落が影響!
厚生労働省が1月27日、公的年金の支給額を2017年4月分(6月支給)から0.1%引き下げると発表しました。
公的年金の支給額は、物価や賃金がアップすれば、原則として、それに連動してアップし、物価や賃金上昇率がマイナスになった場合は連動して年金額は同じ率で引き下げになります。(物価スライド、賃金スライド)
今回の減額については、2016年の消費者物価指数が、2015年と比較して0.1%下ったからです。
年金支給額改定ルールとは?
賃金は2014度以前の3年間の平均などから算出する変動率がマイナス1.1%とのことで、賃金の下落率が物価の下落率よりも大きいい場合は下図のように物価の下落率を採用します。
※既裁定者は年金額を既に受給中の人で、新規既裁定者は年金を受給し始める人のことです。
今回はそのルールにのっとって、既裁定年金額も新規裁定年金額も、物価に合わせて(物価スライド)引き下げが行われたわけです。
余談ですが、マクロ経済スライドは、物価上昇率と賃金上昇率が高い場合に発動されますから、今回は関係ありません。
年金とマクロ経済スライドとは何か?わかりやすく簡単に説明すると。。。
それで今回の引き下げでいくらくらい引き下げになるかというと、国民年金は、満額で受給している人で、2016年度の月額で65,008円から67円減って64,941円に、厚生年金の場合、夫婦2人モデルの場合、2016年度の月額で221,504円から227円減って221,227円ということになります。
27年度(2015年度) | 28年度(2016年度) | 29年度(2017年度) | |
国民年金 老齢年金(満額):1人分 | 65,008円 | 65,008円 | 64,941円 |
厚生年金 夫婦2人モデル (現役時42.8万円、専業主婦) | 221,507円 | 221,504円 | 221,227円 |
GPIFの年金運用損失の影響!?
経済評論家など識者の中には、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がポートフォリオ(資産構成割合)を株主体に見なおしたことで、2年間で約8兆円の損失を出したツケが回ってきたという人もいます。
GPIFとは?わかりやすくポートフォリオ・推移・運用実績につて解説
でも、GPIFが運用しているのは、すでに積み立てた年金を運用しているのだから、私は今回の引き下げには直接的には関係がないとは思います。
あくまで上記の年金支給額見直しのルールに基づいた決定だと思います。
しかし、GPIFの運用損がどんどん大きくなっていけば、ルールの見直しもあり得ることでしょう。
実際、安倍総理は2016年2月15日の衆議院予算委員会でそのことについて発言をしています。
年金積立金の運用損失が拡大していることについて指摘があり、それに対して安倍晋三首相が「想定の利益が出ないなら当然支払いに影響する。給付に耐える状況にない場合は、給付で調整するしかない」と回答しています。
GPIF運用悪化なら年金給付減額ある?ポートフォリオが裏目だったのか?
これは、年金積立金の運用がうまくいかない場合は、年金給付の減額がありうることを意味しています。
しかし、そのときはちゃんと説明があり、ルール改正などで対応するのではないかと考えています。
いずれにしても、年金支給額が減額になるということは、年金に頼って生活している人にとっては深刻な問題ですね。
このブログでも何度も申し上げていますが、年金だけに頼っていては、安心して暮らしていける時代ではないという気がしています。
ですから、現役の人は老後に備えて、収入の多いうちに老後資金を貯金するか、投資で資金を増やすか、定年後も仕事をすることを覚悟したほうがいいでしょう。