国民年金免除・納付猶予制度の条件とは?申請方法は?
2016/08/12
目次
「国民年金保険料納付猶予制度」の対象年齢が2016年7月1日から「30歳未満」から「50歳未満」に拡大されることがニュースになっています。
国民年金は日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満なら、無職や学生であっても保険料を払う義務があります。(サラリーマンの妻、第3号被保険者は保険料の負担がありませんが)
第1号被保険者 | 第2号被保険者 | 第3号被保険者 |
20歳以上60歳未満の自営業者・学生・フリーター・無職とその配偶者の人 | 厚生年金や共済年金に加入している65歳未満の人 | 第2号被保険者に扶養されている配偶者で20歳以上60歳未満の人 |
「国民年金保険料納付猶予制度」とは、収入が少くて、国民年金の保険料を支払う余裕がない人に対し、納付を猶予する制度で、フリーターなど非正規雇用の増加を背景に2005年から「若年者納付猶予制度」として導入されてきました。
今回の対象年齢の拡大は非正規雇用や無職の30〜40代の増加に対応したことのようです。
猶予期間は年金を受け取るために必要な受給資格期間(25年間)に入れることができます。
ただし、2025年6月までの時限措置です。
国民年金保険料を納めることが経済的に困難なほど収入が少ない人のために、設けられている制度には「納付猶予制度」の他には「保険料免除制度」があります。
今回は「保険料免除制度」と「納付猶予制度」について調べてみました。
Sponsored Link国民年金保険料免除・納付猶予制度の条件とは?
「国民年金保険料免除制度」は収入によって免除額が「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」4段階に分かれています。
「国民年金保険料納付猶予制度」(若年者納付猶予制度)の収入条件は全額免除の場合と同じです。
- 全額免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円 - 4分の3免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 - 半額免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 - 4分の1免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 - 若年者納付猶予制度
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円 - 学生納付特例制度
118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
ちょっとややこしいので下の表を見てください。
【国民年金保険料が免除・納付猶予される所得基準】
世帯構成 | 全額免除・納付猶予 | 一部免除(一部納付) | ||
3/4免除 (1/4納付) | 半額免除 (半額納付) | 1/4免除 (3/4納付) | ||
夫婦・子供2人 | 162万円 (257万円) | 230万円 (354万円) | 282万円 (420万円) | 335万円 (486万円) |
夫婦のみ | 92万円 (157万円) | 142万円 (229万円) | 195万円 (304万円) | 247万円 (376万円) |
単身 | 57万円※学生141万円 (122万円) | 93万円 (158万円) | 141万円 (227万円) | 189万円 (296万円) |
※前年(もしくは前々年)の所得で判断します。
※あくまで所得(収入ー必要経費)なので、おおよその収入の目安を()内に示します。
国民年金保険料免除と納付猶予のちがいとは?
国民年金保険料免除と納付猶予はどのようなちがいがあるのか?
免除と納付猶予は、その期間が年金額に反映されるか否かでちがいがあります。
老齢基礎年金 | 障害基礎年金 遺族基礎年金 (受給資格期間への算入) | ||
受給資格期間への算入 | 年金額への反映 | ||
納付 | ○ | ○ | ○ |
全額免除 | ○ | ○(1/2支給) | ○ |
一部免除 | ○ | ○ 半額免除(6/8支給) 1/4免除(7/8支給) | ○ |
若年者納付猶予 学生納付特例 | ○ | × | ○ |
未納 | × | × | × |
つまり、納付猶予の場合は猶予された保険料を後で払い込まないと年金額には反映されないということです。(10年間さかのぼって後払い)
ただし、納付猶予の場合は未納ではないので万一の時に、障害年金などが支給されます。
所得審査の対象者や年齢もちがってきます。
制度 | 所得審査対象者 | 年齢条件 |
保険料免除 | 本人・世帯主・配偶者 | なし |
若年者納付猶予 | 本人・配偶者 | 50歳未満(2016年7月から) |
学生納付特例 | 本人 | 学生 |
保険料免除の場合の所得審査は、本人や配偶者の所得だけでなく、所得のある親と同居の場合も親の所得も含まれてきます。
たとえば、本人がニートで親元で暮らしている場合、親の所得が高ければ免除は受けられないということになります。
やはり納付猶予の場合のほうが、条件はゆるくなっていますね。
国民年金保険料免除と納付猶予の申請方法
「保険料免除・納付猶予の申請書(A4版)」をダウンロードするか、年金事務所または市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口に備え付けのものに記入します。
そして、住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口申請書を提出します。(郵送することもできます)
まとめ
国民年金の保険料免除と納付猶予は万が一失業などした時のために憶えておいて損はないでしょう。
しかし、国民年金の保険料は現在、月16,260円で、20歳から60歳になるまで40年間納め続けると受け取れる年金は満額で月約65,000円だそうです。
16,260円x12ヵ月x40年間=7,804,800円(年金積立総額)
7,804,800円÷(65,000円x12ヵ月)≒10年間
65歳から国民年金をもらったとして、75歳まで10年間生きれば損はしない計算ですね。
やはり、未納だと何もなくなりますから、困ったときは保険料免除と納付猶予を検討しましょう。
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