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年金とマクロ経済スライドとは何か?わかりやすく簡単に説明すると。。。

      2017/01/27

目次

年金に影響するマクロ経済スライドとは何か?

年金の受給額計算に大きく影響するマクロ経済スライドというしくみ。

2015年4月から初めて発動されて受取額が実質的に目減りしたと話題になっていましたが、一体どんなことなのか?

わかりやすく簡単に説明しますね。

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物価スライドと賃金スライド

そもそも公的年金は、マクロ経済スライドというしくみが導入される以前は、物価や賃金がアップすれば、原則として、それに連動してアップするようになっていました。

年金は物価が上がれば、年金額も物価上昇率と同じだけ引き上げられるのが原則です。(物価スライド)

さらに物価が下落して賃金が上昇、逆に物価が上昇して賃金が下落するなど、様々なケースが考えられます。

そのようなケースを想定して、下図のようなルールが細かく設定されています。

現行の年金額の改定(スライド)のルール(全局面)

現行の年金額の改定(スライド)のルール(全局面)

※既裁定者は年金額を既に受給中の人で、新規既裁定者は年金を受給し始める人のことです。

 

ところが、物価上昇率よりも、年金を収める現役世代の賃金の上昇率が少ない場合、年金額を物価上昇率と同じだけ引き上げると不公平ということで過去3年度分の現役世代の平均賃金の上昇率(賃金スライド)も加味しながら決定されていました。

つまり物価上昇率と平均賃金の上昇率のどちらか低い方を採用するというわけです。

たとえば2014年度を例に取ってみると、物価上昇率は2.7%、過去3年度分の賃金の上昇率は2.3%でした。

そうすると年金の上昇率は2.3%上昇するとういわけです。

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マクロ経済スライドとスライド調整率

ところが、年金を収める現役人口の減少や平均余命の伸びによって年金をもらう世代が増えるという急速な少子高齢化が進展して、それまでの仕組みでは年金制度が立ちいかなくなってきました。

そこで2004年より導入されたのがマクロ経済スライドというしくみです。

マクロ経済スライドは、物価上昇率や賃金上昇率(過去3年度分)による年金額の上昇率から「スライド調整率」を差し引いて年金額を計算します。

スライド調整率

スライド調整率

「スライド調整率」は「公的年金全体の被保険者の減少率の実績」+「平均余命の伸びを勘案した一定率(0.3%)」で計算されます。

スライド調整率」の計算はややこしそうなので差し控えますが、2025年までは0.9%と見込まれているそうす。

具体的には、たとば上記の2014年度の例でいくと、物価上昇率は2.7%、過去3年度分の賃金の上昇率は2.3%でした。

マクロ経済スライド実施前の計算なら、年金の上昇率は2.3%といことになりますが、マクロ経済スライド実施後は0.9%のスライド調整率を加味して、年金の上昇率は 

2.3%(賃金の上昇率)-0.9%(スライド調整率)=1.4% 

の1.4%に抑制(調整)されるわけです。

つまり、年金支給額の伸びを物価や賃金などの上昇より0.9%低く抑えるということになります。

物価上昇率と賃金上昇率とスライド調整率

年金額を決定する物価上昇率と賃金上昇率とスライド調整率の関係ですが以下の3つのケースが考えられます。

①物価上昇率・賃金上昇率がスライド調整率より大きい場合(物価上昇率と賃金上昇率>スライド調整率)

物価上昇率・賃金上昇率がスライド調整率より大きい場合は従来の通りの計算です。

物価上昇率と賃金上昇率>スライド調整率

物価上昇率と賃金上昇率>スライド調整率

②物価上昇率・賃金上昇率がスライド調整率より小さい場合(物価上昇率と賃金上昇率≦スライド調整率)

物価上昇率・賃金上昇率がスライド調整率より小さい場合は、従来の計算だと年金が減額になってしまうため年金額はアップせず従来のままということになります。

物価上昇率と賃金上昇率≦スライド調整率

物価上昇率と賃金上昇率≦スライド調整率

③物価上昇率・賃金上昇率がマイナスになった場合

物価上昇率・賃金上昇率がマイナスになった場合は年金額は引き下げになります。

物価上昇率と賃金上昇率がマイナス

物価上昇率と賃金上昇率がマイナス

 

マクロ経済スライドが発動実施された2015年度の年金上昇率は?

マクロ経済スライドが発動実施された2015年度の年金上昇率はどうなったのでしょうか?

マクロ経済スライドは2004年より導入されたましたが、デフレ経済が続いたため実施できずにいました。

しかも、デフレ経済が続き物価が下落しても年金額を下げず特例措置がとられていました。

2015年度初めて実施した際はこの特例措置による「払いすぎ」解消を考え0.5%の調整率を加味しました。

つまり、2014年度の物価上昇率は2.7%、過去3年度分の賃金の上昇率は2.3%で、上昇率の低い賃金の上昇率は2.3%から0.9%のスライド調整率と「払いすぎ」解消を考えた0.5%の調整率を引いた0.9%が年金の上昇率となりました。

2015年度の年金上昇率

2015年度の年金上昇率

2.3%(賃金の上昇率)-0.9%(スライド調整率)-0.5%(払いすぎ調整率)=0.9%(年金上昇率)

マクロ経済スライドで2016年度の年金上昇率はどうなる?

2016年の年金上昇率はどうなるのか?

厚生労働省の発表によると、今回は物価が上がり、賃金がマイナスになったため年金額は据え置いて年金上昇率は0%となりました。

 

マクロ経済スライドのスライド調整率は2025年までは0.9%と見込まれていますが、現役人口の減少や平均余命の伸びが進行するため、調整率も上昇すると見ていいでしょう。

このように、我々の将来の年金受給額はますます減少の一途をたどりそうです。

やはり、現役で働けるうちにできるだけ老後資金を蓄積することを念頭に置いて暮らしたほうが良さそうです。

50代アラフィフは老後資金を蓄積する最後のチャンスです。

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