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高額医療費制度とは?傷病手当金とは?医療保険は高齢者に必要か?

      2017/12/25

目次

医療保険は必要か?

高齢者になればなるほど、医療費が嵩むことは想像に難くないでしょう。

それに備えたお守り代わりとして生命保険会社の医療保険に加入している人も少なくないと思います。

しかし、医療保険は本当に必要なのでしょうか?

順を追って考えてみました。

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医療保険は本当に必要?

医療保険は本当に必要?

まず、忘れがちですが、生命保険会社の医療保険のほかに公的な医療保険があることを思い出してください。

公的な医療保険とは「国民健康保険」や勤務先の「健康保険」などのことです。

この公的な保険が医療費の7割を負担してくれることはご存知ですね。

つまり、医療費の自己負担額は3割で済むわけです。

(義務教育就学前や70歳~75歳未満は2割ですが)

被保険者の年齢自己負担割合
義務教育就学前2割
上記以外3割
70歳~75歳未満2割
現役並み所得者(標準報酬月額28万円以上、ただし単身世帯で年収383万円、夫婦世帯で520万円未満である場合は除く)
3割
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傷病手当金とは?

また、健康医保険に加入しているサラリーマンであれば「傷病手当金」も申請して受け取ることができます。

「傷病手当金」は病気や怪我で働けない場合(労務不能な状態が4日間以上連続で続いている)、最長1年6ヵ月は健康保険から給与(標準報酬月額)の3分の2に相当する額を受け取ることができます。

標準報酬
等級月額日額
198,0003,270
2104,0003,470
3110,0003,670
4118,0003,930
5126,0004,200
6134,0004,470
7142,0004,730
8150,0005,000
9160,0005,330
10170,0005,670
11180,0006,000
12190,0006,330
13200,0006,670
14220,0007,330
15240,0008,000
16260,0008,670
17280,0009,330
18300,00010,000
19320,00010,670
20340,00011,330
21360,00012,000
22380,00012,670
23410,00013,670
24440,00014,670
25470,00015,670
26500,00016,670
27530,00017,670
28560,00018,670
29590,00019,670
30620,00020,670

給与(標準報酬月額)が30万円の人なら

30万円x2÷3=20万円(1日あたり1万円で 10,000円x2÷3=6,667円)

1か月あたり20万円、1日あたり26,667円の傷病手当金を受け取ることができます。

それでも、手術や入院費が嵩んで高額になり、困窮しないか不安という方も多いでしょう。

高額医療費制度とは?

しかし、「国民健康保険」や勤務先の「健康保険」に入っていれば、「高額療養費制度」という制度があります。
「高額療養費制度」は医療費の自己負担額を一定額までに抑える制度です。

1ヶ月の医療費負担額の上限が年齢や年収によって限度額が決められ、限度額を超えた金額は戻ってくるという制度です。(「差額ベッド代」「食事療養費」「先進医療の費用」は別途です。)

下の表をもとに具体的に計算してみます。

たとえば、70歳未満の「区分ウ」の人が入院で100万円かかったとします。

病院の窓口で支払う金額は3割負担ですから30万円になります。

30万円というと結構大きいですよね。

そこで、高額療養費制度を利用すると

80,100円+(100万円-267,000円)×1%=87,430円

なんと87,430円に負担を抑えられるわけです。

一旦窓口で30万円の支払いは必要になりますが、加入する健康保険(勤務先の健康保険組合や国民健康保険なら自治体など)に申請すればお金が戻ってきます。(同じように70歳以上75歳未満の人が入院しても月収28万円未満の人なら申請すれば、15,000円~44,400円で済むわけです。)

そして、12か月間に3回以上高額療養費の支給を受けている場合(多数該当)、4回目以降の自己負担限度額44,400円です。

2年連続で入院費が月100万円かかったとしても、

(87,430円x3か月)+(44,400円x21か月)=1,107,260円

120万円くらい貯蓄があれば2年間入院しても大丈夫という計算になります。

※高齢者の平均入院日数の参考記事↓

高齢者の医療費平均や病気別入院日数はどれくらいかかる?

毎月2万円を5年間貯金すれば可能ですね。

保険料ではなく貯金するという考え方もあるのではないでしょうか?

【70歳未満】

 被保険者の所得区分 自己負担限度額多数該当( 同一世帯で直近12か月間に3回以上高額療養費の支給を受けている場合、4回目以降の自己負担限度額)

①区分ア
(健康保険:標準報酬月額83万円~)
(国民保険:年間所得901万円~)

年収約1,160万円以上

 252,600円+(総医療費-842,000円)×1% 140,100円

②区分イ
(健康保険:標準報酬月額53万~79万円)
(国民保険:年間所得601万円~901万円以下)

年収約770万~約1,160万円

 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% 93,000円

③区分ウ
(健康保険:標準報酬月額28万~50万円)
(国民保険:年間所得210万円~600万円以下)

年収約370万~約770円

80,100円+(総医療費-267,000円)×1%44,400円

④区分エ
(健康保険:標準報酬月額26万円以下)
(国民保険:年間所得210万円以下)

年収約370万以下

 57,600円 44,400円
⑤区分オ(低所得者)
(被保険者が市区町村民税の非課税者等)
 35,400円 24,600円

【70歳以上75歳未満】

被保険者の所得区分自己負担限度額
外来
(個人ごと)
外来・入院
(世帯)
①現役並み所得者
(標準報酬月額28万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の方)
 44,400円 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
[多数該当:44,400円]
②一般所得者
(①および③以外の方)
 12,000円 44,400円
③低所得者Ⅱ(Ⅰ以外) 8,000円 24,600円
Ⅰ(年金収入のみ、年金受給額80万円以下など、総所得金額がゼロの場合) 15,000円

注意が必要なのは、高額療養費で給付されるのは健康保険がきくものだけですので、差額ベッド代、食事療養費、先進医療などにかかる費用などは対象外です。

差額ベッド代は基本的には1人~4人の特別療養環境室(特別室)に入院するとかかるものですが、1日あたり平均金額は約6,000円くらいだそうです。

だだし、患者自らが希望した場合や同意書にサインをしたとき以外は病院側が請求できないことになっているようです。

同意書による確認をとっていなかったり、病院側の都合、たとえば院内感染を防止する目的で患者の選択によらず特別室に入院させた場合などです。

同意書にサインするときはよく注意しましょう。

食事療養費は病院食ですから、入院していなくてもかかる費用ですからこれは仕方ないですね。

先進医療にかかる費用はどれくらいなのでしょう。

先進医療とは?

先進医療とはどんなものなのか?

先進医療技術は96種類あるようで、平成24年7月1日~平成25年6月30日に実施されていた先進医療の実績報告で件数の多い順ベスト5を表にしてみました。

順位先進医療技術名件数平均金額
1位前眼部三次元画像解析5,337約3,900円
2位多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術5,248約513,000円
3位陽子線治療2,170約2,580,000円
4位光トポグラフィー検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助1,959約12,000円
5位重粒子線治療1,286約3,030,000円

なんかややこしい名前が多いですが、1位「前眼部三次元画像解析」2位「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は緑内障や白内障などの目の治療に使われる技術のようです。

特に注意すべきは3位「陽子線治療」5位「重粒子線治療」ですが、これは主にがん治療に使われるようです。

医療費が何百万円もかかったら大変だからと思いますが、がん患者で継続的な医療を受けている人は推計152万人だそうです。

単純計算ですが「陽子線治療」と「重粒子線治療」の件数を152万人で割ると。。。

(2,170+1,286)÷152万人=0.22%

がん患者152万人のうちの0.22%が先進医療で治療を受けたということになります。

これからみると、たいして多くはない感じがしますね。

高齢者に医療保険は必要なのか?

その人がどんな病気にかかるかはわかりませんので、実際のところははっきり言えません。

だだ、公的保険に入っていれば、「傷病手当金」や「高額療養費制度」という制度で守られていますので、そのことを念頭に置いて検討したほうがいいっでしょう。

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 - 保険の見直し, 老後生活費

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